いまやフェラーリの重要な戦略車となったV8スペシャルモデル
360モデナの後継であるF430の場合、それは「430スクーデリア」だった。発表は2007年のフランクフルトショー。アンヴェールにはあのミハエル・シューマッハも立ち会ったため、ブースの周辺は身動きもとれないほどのパニック状態だったことを覚えている。
エンジンはさらに拡大され4.3リッターに。最高出力も510馬力というスペックに向上している。さらに驚くのは車重がベースのF430より200kg以上軽い1250kgという設定であったこと。結果、0-100km/h加速は3.6秒以下、最高速は320km/h以上を記録するという驚異のマシンとなったのである。
また、このオープン仕様である「スクーデリア・スパイダー16M」も499台が限定販売されている。これはフェラーリがF1GPにおいて16度のコンストラクターズタイトルを手にしたことを記念して製作されたモデルだ。
続いて2011年に発表された458イタリアをベースに、2013年に発表されたのが「458スペチアーレ」だ。0-100km/h加速が3秒というこのモデルが搭載する4.5リッターエンジンは、スタンダードな458イタリア比でプラス35馬力の605馬力仕様。フロントバンパーやリヤディフューザーなどは専用のデザインで、外観からもその速さが想像できる。
また、この458スペチアーレをベースとしたオープンモデルの「458スペチアーレ・アペルタ」も、499台の限定車として販売されているが(クーペのスペチアーレは限定車ではなかった)、それは一瞬でソールドアウトしたともいう。
2015年に誕生した488GTBには、後に「488ピスタ」とネーミングされた高性能版がスペシャルモデルとして追加されている。フェラーリ史上もっともパワフルなV8エンジンというキャッチフレーズのもと搭載された4.8リッターエンジンの最高出力は、じつに720馬力。0-100km/h加速はついに2.8秒という数字を達成するに至っている。ちなみにこのピスタにもスパイダー仕様は存在する。
そしてもちろん、フェラーリは488GTBの後継車であるF8トリブートにも、さらに魅力的なスペシャルモデルを用意してくれるのだろう。はたしてそれはどのようなスペックで現れるのか。興味の尽きないところだ。