この記事をまとめると
■フェラーリは348以降のV8搭載車にスペシャルモデルを用意してきた
■もとはワンメイクレース用モデルだったがあまりの人気に公道仕様を発売したモデルもある
■いまではモデル末期にスペシャルモデルを登場させる販売戦略となっている
レース専用車を公道仕様にコンバージョンして大ヒット
近年、フェラーリファンの目を楽しませているモデルのひとつに、8気筒モデルが世代交代される前に発表されるスペシャルモデルの存在があげられる。
最初に誕生したのは1993年に始まったフェラーリ自身がオーガナイズするワンメークレース、フェラーリ・チャレンジに参戦するためのコンプリートカー、「348チャレンジ」で、これはもちろんレース専用車であって公道走行は不可。
その人気は高く、フェラーリは同年には「348GTコンペティツィオーネ」と呼ばれる、イタリアGT選手権用のホモロゲモデルを50台限定生産するに至っている。さらにロード用には、北米試乗向けに100台の「348セリエ・スペチアーレ」が348ts/tbの両ボディをベースに製作された。
348によるフェラーリ・チャレンジは1995年シーズンからF355をメインとするシリーズに姿を変えるが、レース車両の販売は行われたものの、348のときのような特別仕様車はF355では誕生しなかった。唯一1997年、日本仕様向けに20台の「コーンズ・スペシャル・エディション」が発売されたのが大きなニュースで、1999年にはF355の生産と販売も終了する。
後継車は360モデナだ。360モデナの販売は、1999年から2005年の期間にわたって行われた。オールアルミニウム製ボディを持ち、シャシーやサスペンションにまで徹底した軽量化を実施。空力に富んだボディデザインと、F355からわずかに排気量を拡大したV型8気筒エンジンの組み合わせで、その運動性能が大幅に向上したのは記憶に新しいところだ。
当然のことながらフェラーリ・チャレンジでの主役もこの360モデナをベースとした360チャレンジとなったわけだが、フェラーリは2003年、このチャレンジのロード仕様ともいえる「チャレンジ・ストラダーレ」を発表。最高出力は420馬力、最高速では300km/hを記録した。
チャレンジ・ストラダーレは、サーキットにおけるF355チャレンジのパフォーマンスを、公道でも体験できるとして非常に高い人気を博したモデルである。その成功はフェラーリにとっても重要であり、以後フェラーリは同様のスペシャルモデルを後継車たちのモデル末期にデビューさせるという販売戦略を繰り返すようになる。