この記事をまとめると
■クルマの世界には「○○族」と呼ばれる人たちがいた
■かつてド派手なカスタムしたクルマやバイクで街へ繰り出す人が多かった
■チューニングが流行すると速さを競うために高速道路や峠などへ出没する人も増加
クルマの歴史とともに歩んできたいろいろな「族」たち
昔から、お上、警察、マスコミが名付けた、「走り屋」たちへの呼称は、まったくセンスの欠片もないが、彼らはとりあえずクルマを使ったヤンチャな輩を「○○族」と命名して、同じ箱に入れたがる。
「族」とは、辞書によると、「1:同じ祖先から分かれた血統の者。みうち。やから。うから。一門。2:血統上の身分」とあるが……。
いずれにせよ、同じ祖先、ということなので、そのルーツから辿ってみることにしよう。
カミナリ族
クルマ(バイクを含む)を主たるツールにした、ヤンチャ系のルーツは、昭和30年代、1950年代に認識されるようになったカミナリ族だろう。マフラーの芯を抜いたり直管マフラーにするなどして爆音を轟かせていたことから、カミナリ族と命名された。
※画像はイメージ
基本的には改造したクルマやバイクで、公道をハイスピードで走るのが特徴。街道レーサー指向で、元祖「走り屋」といった存在が多かった。
暴走族
1960年代後半から、速く走ることよりも徒党を組んだり、目立つことを優先したり、喧嘩や縄張り意識に重きを置いた集団が現れ、「暴走族」と呼ばれるようになった。
※画像はイメージ
暴走族は不良少年(少女)の総称的意味もあり、そうした共同危険行為・不良タイプの暴走族が出現してきたことで、街道レーサータイプ(違法競争型)は、同じ違法改造車を乗りまわしていても、同一視されたくないという意識が芽生え、線引きを図っていく(しかし、世間からすると大差ない!?)。
グラチャン族
グラチャン族は、1970年代の花形レース、富士グランドチャンピオンシリーズ、通称「グラチャン」のサポートレース車両に影響を受けた改造車軍団のこと。
グラチャンの初期には、ポルシェやマクラーレン、シェヴロンやローラに混じって、ハコスカGT-RやRX-3、フェアレディZなどの市販車ベースのレーシングカーも混走。1980年代になると、グラチャンのサポートレースとして「富士スーパーシルエットシリーズ」がはじまる。いわゆるシルエットフォーミュラによるレースで、スカイライン、シルビア、ブルーバードの「日産ターボ軍団」の活躍で大人気に。
シルエットフォーミュラのマシンは、オーバーフェンダー、大型のチンスポイラー、ウイング、シャコタン、ディープリムのホイール、炎を吐き出すサイドマフラーがトレードマークで、このド派手な“シルエット”が、暴走族が好むヤンキースタイルの定番に。
ハコスカやZ、RX-3といったレースで活躍したベース車両だけでなく、4ドアセダンもシャコタン、チンスポ、オバフェンの3点セットで、シルエットフォーミュラ風のカスタムカーが、グラチャン開催日になると富士スピードウェイに集結。
そんなヤンキースタイルを取り入れた連中が、グラチャン族と呼ばれるようになった。グラチャン族の目的は、自慢の愛車をレースに集る人たちに見てもらうことだったが、レース関係者にとっては頭痛のタネに……。
主催者側も「不法改造車での入場をお断りいたします」とサーキットへの入場を規制したが、東名高速や中央道のSAやPAに集まりだして、大きな社会問題にもなった。