夏商戦に「特別仕様車」が出ないのは生産現場の余裕のなさの表れ! 特別仕様車の歴史とイマドキの中身 (2/2ページ)

最近はモデル末期に設定されることが多い

 それでも昨今にあっても特別仕様車が設定されることがあるが、それは単に装備を充実させたものではなく、特別塗装色や専用シート表皮などを採用した「限定的追加設定仕様車」的な色合いのものが多い。

 たとえば、現行カローラシリーズでは、現状でクロスとスポーツを除くセダン、ツーリングにおいては、「W×B」というグレードが設定されているが、これはそもそもシリーズ11代目、アクシオでは2代目の時に、カローラ生誕50周年を記念し、車体色が白と黒系のみとなる特別仕様車として設定されたのだが、好評とのことでその後カタロググレード化されている。

 また現行モデルでは2022年10月の一部改良実施前のカローラ・ツーリングに、カタログモデルには設定のない2リッターダイナミックフォースエンジンを搭載した「2000リミテッド」が限定販売されている。ちなみに現行モデルでは改良前に廉価グレードの「G-X(当時)」をベースにインテリジェンスクリアランスソナーなど、ベースグレードでは標準装備されない特別装備を多数採用した、昭和臭の強い「G-Xプラス」という特別仕様車も設定されている。

 ホンダ・フリードシリーズでは、2022年6月の一部改良実施のタイミングで、ブラックの15インチアルミホイールや、ダーククロームメッキのリアライセンスガーニッシュ、ブラックファブリックシート&ブラックインテリアなど、ドレスアップ系の特別装備を採用したブラックスタイルが特別仕様車として設定されている(2023年6月8日にクロスターにも追加設定されている)。単なる装備充実というよりは、カタロググレードにはないドレスアップ仕様など、ある意味シリーズの多様化という観点で開発された特別仕様車が令和流といっていいだろう。

 アメリカ市場ではフルモデルチェンジや日本でいうところの改良幅の大きいマイナーチェンジなどを間近に控えると「ファイナルエディション」というものが設定されることが多い。装備充実というよりは、見た目勝負的な内容になることが多い。逆に欧州車では新型としてデビューした直後にはカタロググレードではない、スペシャルエディション的な仕様から日本国内で販売開始されるケースも多いので、どのタイミングでカタロググレード以外の特別仕様車、もしくはそれに近いモデルを投入するかの判断は異なるようにも見える(さらに欧州車ではモデル熟成期やモデル末期に投入することもある)。

 日本の特別仕様車はモデル熟成期になってからとか、モデル末期になって設定されることが圧倒的に多いので、昨今は内容的にもアメリカ化が進んでいるともいえるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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