この記事をまとめると
■ビークロスは1997年に登場したいすゞのSUV
■まるでスケッチから飛び出てきたようなルックスだった
■いすゞビークロスのデザインを振り返る
伝説のSUVビークロスのデザインを振り返る
いまや国産車・輸入車を問わず市場を牽引するSUV。手の届きやすいカジュアルなモデルからプレミアムクラスまで、いずれも最新のデザインを競っていますが、いまから26年前、すでにSUVデザインを極めたモデルがありました。今回は、伝説の超未来派SUV、いすゞのビークロスのデザインを振り返ります。
●前傾姿勢のパーフェクトプロポーション
1993年、いすゞは長きに渡った乗用車生産から撤退しましたが、同年の東京モーターショーに先進的なコンセプトカーを出品しました。その後のSUV主体のラインアップをアピールするためのモデルでしたが、想定を超える大きな反響に市販化を決定、1997年に登場したのが「ビークロス」です。
3代目ジェミニをベースとしていたコンセプトカーに対し、市販版は諸般の事情から当時のウィザードベースへと変更されましたが、それでも四隅に踏ん張った大径タイヤと十分に低いフードによるボディは、まるでスケッチから飛び出したようなグッドプロポーション。
そこはまさに、SUVとスペシャリティーカーの融合を図ったというコンセプトがしっかり体言されたところ。発売時のコピー「オールラウンド・リアルスポーツ」にもあるように、悪路走破性能を備えつつも、その佇まいは基本的にスポーティカーです。
フロントは左右が強く絞られていることもあり、ランプもグリルも意外なほどコンパクトですが、特徴的な形状や奥行きのある造形によって未来感が全開。光りモノを用いることなく、高い質感やメカニカル感を表現している点が出色です。