「車検がない」と噂のあるアメリカ! それなら北米はクルマをイジり放題の「カスタム天国」なのか? (2/2ページ)

映画化されるほど日本車のカスタムが大ブーム!

 だが、実際にはアメリカの街なかで派手なチューニングカーやドレスアップカーが数多く走りまわっている、というわけでもない。

 背景にあるのは、それぞれの地域での当局(警察)による取締りだ。

 時代を少し振り返ると、アメリカでは60年代からさまざまなアメ車のチューニングカーは存在していた。その後、大きな転機となったのが、90年代末から2000年代頭にかけて発生した、日系車のチューニングとドレスアップのブームだ。

 そもそも西海岸の一部で、東洋系アメリカ人を中心にした親から払下げしたホンダ車を使った仲間うちの遊びが始まりだ。そこに日本からチューニングやドレスアップに関する部品メーカーや個人ショップが米西海岸にこぞって進出し、東洋系アメリカ人の若者を中心としてジャパニーズチューニングカー・ドレスアップカーの一大ブームが巻き起こった。

 そうした社会現象をドキュメンタリータッチで描いた映画作品が、「The Fast and the Furious(邦題:ワイルドスピード)」だ。

 筆者は同作品の撮影現場にも立ち会うなど、当時の西海岸での社会現象を肌で感じていた。このブームの背景には、チューニングカーがドレスアップカーに対する、アメリカ社会における自主的な規制意識に対する反発だったと言えるのではないだろうか。

 そもそも、日本のような厳しい検査を伴う自動車の検査がないとはいえ、アメリカ人の一般常識を越えるような違法改造については、アメリカの地域社会はそれを認めなかった。

 これに若者が反発するかのように、90年代末から2000年代初頭のブームが起こったようにも思う。ところが、そのブームはあえなく短期間で終わってしまった。ブームの震源地であるカリフォルニア州や、同州のブームが飛び火した全米の各州でジャパニーズ・チューニングカーやドレスアップカーに対する警察の取り締まりが一気に強化されたからだ。

 こうした90年代末から2000年代初頭の出来事がその後、アメリカにおけるチューニングカーやドレスアップカーの業界における「教訓」となったのだと思う。

 そのため、近年のアメリカにおけるチューニングカーやドレスアップカーは、イベントやクロースドエリアでの走行や展示を主体として、公道では装備品にしても走りにしても、昔のように一線を超えるようなマネはしなくなった印象がある。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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動物たちとのふれあい
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