「ただの雨」「ただの風」感覚じゃ危険! 日本全国を襲う「異常気象」によるクルマへの被害と対策をじっくりと考えた (3/3ページ)

停電なんかもう怖くない!

HVの1500W電源はガソリン満タンで1週間

 ここにきて政府はクルマを「自然災害時や電力需給バランスが逼迫したときに活用しよう」という方向性を打ち出してきた。実際、パワーユニットとして使ったときのポテンシャルって大きい。

 トヨタのハイブリッド車の多くに装備されている100V/1500W給電装置は、数字どおりの電力を供給可能。私の家でいえば、昼間は大型冷蔵庫とエアコンひとつに、仕事場で使うPC環境など含め700~1200W程度。この程度ならハイブリッド車1台でまかなえてしまう。この間、エンジンがかかったり止まったりを繰り返すが、ガソリンを満タンにしておけば、とりあえず3日、4日くらい使えるから素晴らしい!

 我が国の場合、メッタに遭遇しない大規模な自然災害を除けば停電は長くても1日。ハイブリッド車1台でご近所の携帯電話の充電ベースとして使ったって余裕だ。

 ちなみに非常用電源として携帯発電機などもあるけれど、使っていないと「イザというときにエンジンかからなかった」みたいなことって“発電機あるある”。そもそも最近ガソリンスタンドに行っても携行缶だとガソリンを売ってくれない。クルマならガソリン自由に入れられる上、ふだん使っているから確実に電気を供給できる。

 役に立つのは自然災害時だけじゃない。アウトドアでホットプレートを使って料理したり、美しい景色を見ながらコーヒー淹れたり。今やハイブリッド車は販売の主役になっているため、日本全国、自然災害が起きても停電で困らないようになると思う。

 繰り返すけれど、車両に100V/1500Wのコンセントが付いているハイブリッド車やPHVは、ガソリンがある限り家電製品に電力を供給し続けられる心強い相棒になってくれる。

電源を引き出せる車種は政府の補助金も太っ腹!

 大きな電力を取り出せるチャデモのカプラーを持つ車種もある。日本製の電気自動車や一部のPHV、MIRAIといった燃料電池車だ。チャデモから引き出せる電力は車種によって違うものの2000Wから4500Wと大きい。しかも電力会社から供給される、いわゆる「系列」の途中に組み込めるため、停電時も家庭用電力をカバーできる(停電時に自動切り替えするタイプも)。

 フル充電してあるリーフ+やMIRAIなら、冷蔵庫とTV、照明くらいに使用量を絞ると(500Wと仮定)、3〜4日分の電力をカバーできてしまう。前述のとおり日本の停電時間って大半が24時間以下。また、チャデモタイプだと今年のように電力需給が逼迫して節電要請のあった時間帯だけクルマから電力を引き出すという使い方だって可能だ。

 政府としても「非常時や電力需給逼迫時に活用できる電源という点を評価しましょう」ということから補助金を出すようになった。

 具体的に書くと、普通の電気自動車だと補助金65万円のところ、電力を引き出せる車種なら85万円に増額※(小型・軽EVは補助金45万円/条件付きで55万円)。PHVも通常45万円が55万円に増額される。それだけじゃない。チャデモから家庭用電力を引き出せるV2H(ヴィークルtoホーム)を同時に買うなら、V2H本体+工事費を補助するようなこともやっている。
※外部給電機能としてのV2Xに対応、または1500W車載コンセント装備を有していること、かつ、「省エネ法トップランナー制度」の対象車両

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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