パトカーが緊急走行中だった場合は一般車両の過失が大きくなる
サイレンを鳴らし、赤色警告灯を回して走行している「緊急自動車」であった場合、一般車両は近づいてきた緊急自動車に対し、交差点を避け、かつ、道路の左側に寄って一時停止をするなどして、進路を譲る義務がある(道交法40条)。
この義務を怠って、パトカーと一般車両がぶつかった場合、当然、一般車両の過失が大きくなる。
一方、緊急自動車は、赤信号や一時停止標識の前で停止することは免除されているが、徐行して安全確認を行う義務があり、他の車両や歩行者に対し十分注意を払い、できるだけ安全な速度と方法で進行しなければないルールがある。
他車と事故を起こした場合、この義務を怠ったとして、過失割合が多くなるといわれているが、前述のとおり、緊急自動車の優先度は高く設定されているので、双方が動いている状況下の事故での基本的な過失割合は、パトカーが2、一般車両が8となってしまう。
なお、同じパトカーでも、サイレンを鳴らさず、赤色回転灯が止まっていれば、「緊急自動車」とはいえないので、通常の「一般車両 対 一般車両」の事故と同等に扱われ、過失割合も一般車両同士の事故と変わらない。
ちなみにパトカーをはじめとする公用車でも、自賠責保険への加入義務はあるが、任意保険の加入は自治体によってバラツキがある。
警視庁は任意保険に加入していて、福岡県警も一般入札により、あいおいニッセイ同和損保と任意保険を契約(令和元年10月の時点)。
その反面、兵庫県警の警察車両の6割以上は任意保険に未加入という報道も!
仮に事故を起こしたパトカーが任意保険に加入していなかったとしても、国家賠償法で保証されるので問題ないはずだが、示談交渉はややこしいことになりそう……(弁護士特約の出番かも)。
いずれにせよ、他のクルマと同じように、パトカーとも事故を起こさないよう、つねに安全運転を心がけよう。