エンジンがかかるか試したい気持ちはわかるが絶対にダメ! クルマが「水没」したらひとまず「何もしない」が正解 (2/2ページ)

水没したクルマのエンジンをかけると被害が拡大する場合もある

 では、水が引いたあとで愛車が水没しているのを見つけたときはどうすればいいのだろうか。

 基本的には、なにもせず自然乾燥を心がけるべきだ。いまどきのクルマは電子制御の塊だ。そして一般論でいえば、水没した基板は水分によりショートする可能性が高い。水没した愛車のエンジンがかかるかどうか、一刻も早く確認したい気持ちは理解できるが、濡れた基盤に電気を流してしまうのはNGだ。

 逆にいえば、クルマに限らずデジタルガジェットなどにも共通した話だが、基盤を自然乾燥させれば意外に何事もなかったように復活することは少なくない。

 また、エンジン内に水が入ってしまっている状態でスターター(セルモーター)を動かしてしまうと、ウォーターハンマーといってピストンが水を押すことでバルブやコンロッドなどを曲げてしまうこともある。

 エンジンについて自然乾燥は難しいので、オイル交換の要領でエンジン内に侵入した水を抜き取る必要がある。とはいえ、床上浸水するような状況で流れてくるのは泥水であることが多く、エンジン内に泥が付着している状態であれば、完全にバラしてオーバーホールしないと直すことは難しいだろう。

 同様に、室内についても泥水が入ってしまうとカーペットやシートがかなり臭くなってしまう。現実的には、内装を全部取り外して、クリーニングしたうえで、新品パーツや中古品を使ってほとんどを取り換える必要が出てくるだろう。

 水没したクルマというのは、ほとんどのケースで修理代が残存価値を上まわってしまうので、経済合理性でいえば廃車にするのが適当ということになる。ただし、希少なクルマであれば修理することもあるだろう。どうしても乗り続けたいという情熱があれば、直せなくはないが、想像以上のコストがかる覚悟は必要だ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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