この記事をまとめると
■2023年5月度の車名別販売ランキングが発表された
■登録車のTOP10にはトヨタ車が9台もランクイン
■各メーカーの新車販売の状況について解説する
上位には現在受注停止中のクルマも多数
2023年5月単月締めでの車名(通称名)別販売ランキングが自販連(日本自動車販売協会連合会/登録車)、全軽自協(全国軽自動車協会連合会/軽自動車)それぞれから発表された。含軽(軽自動車と登録車を合算)販売台数ランキングを作成してみると、1位がホンダN-BOX、2位がトヨタ・ヤリスというトップ2はお馴染みの車種がランクインしている。
含軽ランキングで4位、登録車のみで2位にトヨタ・プリウスが入っている。ただし、販売現場では納車時期がいつになるのかはっきりしないなか受注を取り続けており、「最長で3年ほど(HEV/ハイブリッド車)お待ちする覚悟を……」とセールスマンは商談時にお客に伝えているとのこと。プリウスは業界関係者の間や、筆者が調べた範囲でもHEVよりPHEV(プラグインハイブリッド車)のほうが納期は短く、販売現場ではHEV希望であってもPHEVを勧める傾向も目立っているとのこと。調べてみると、売れ筋のHEVとなる2.0Zでは本稿執筆時点で発注すると、2025年初夏あたり以降が納期の目安となるようなので、発注から2年は待つことになる。
一方でPHEVになると2024年5月以降あたりになるので、2.0Zと比べると1年ほど納期が短くなる様子。ただし、これはあくまで目安なので、ここまで実際納期に差が出るかはっきりしないのもまた現状である。PHEVのほうが納期は短い傾向にあることについては、「PHEVはHEVに対して車両価格が高いので、その点でHEVよりも受注が鈍っているとの見方があります」とは事情通。
登録車のみの販売ランキングで上位10車中トヨタ車が9台入っているが、本稿執筆時点では1位のヤリスでは、ヤリスクロス全車、4位のカローラではカローラクロス及びカローラスポーツ全車、10位のハリアーのZグレードがいずれも新規受注停止中(カローラクロスのガソリン車は再開しているとの情報もあり)となっており、「人気もあるし欲しいなあ」と思っても、納車までかなり待つどころか、実際には注文を入れることのできない車種も目立っている。
比較的納期が短く売りやすいクルマは、ヤリス(ハッチバック)、シエンタ(やや不安定)、カローラ(ガソリンのセダンとツーリング)、アクアと結構限定的となっている。「納車が長期化するならすでにまだマシなほうになっている。受注すら停止している車種も目立っており、売るクルマがない」とは販売現場でよく聞く話。プリウスが登録車のみの販売ランキングで2位に入っているが、「納車まで3年待ち」ともいわれるなかでは、ひたすら生産してもらうしかなく、その結果ともいえるのである。ランキングを見るからには『トヨタ祭り』のようにも見えるが、たとえ納車まで長期間待つとしても人気車を中心に受注の勢いが弱まらない傾向が依然として続いていることも物語っている。