インテリアには抜群にセンスのいい再解釈がずらり
それにしても、デボネアの旧弊なスタイルがこれほどオシャレに仕上がるとは三菱だって夢にも思わなかったに違いありません。オリジンが持つスクエアな基調は、パラメトリックピクセルという細かなLEDライトの集合体で再び強調されています。グリルのメッシュもLEDとスケールを合わせるなど、ディテールにも手抜かりはありません。もっとも、これはライトが点灯しているから映えるわけで、点いていなければシルエットはグレンジャー=デボネアのまま。コンセプトカーマジック的なところですから、好みのわかれるところかと。
一方、インテリアに目を向けると、抜群にセンスのいい再解釈がずらりと並びます。たとえば、バーガンディのベルベットと同系色のレザーを用いたシートや内張は、1980年代のリッチでムーディな雰囲気をリスペクト。また、仕立てのいいアームレストに設けられた隠し収納も「懐かしさ」とか「こういうの欲しかった」的なうれしさがこみ上げてしかたありません。当時のニュアンスをしっかりキャッチアップしつつ、今風に、かつゴージャスなアレンジが加わっており、さすがデザイントレンドのトップランナーに躍り出ただけのことはあると膝を打つことしきりです。
さらに、インテリアに内蔵された18個のスピーカーや、タッチ式ディスプレイに設定されたピアノの鍵盤(実際に叩けば音が鳴るそうです)といったアイディアには誰もが驚くはず。圧巻は、天井に埋め込まれたブロンズカラーのLED照明で、このデザインが旧き良き銀座のクラブかのようで、これだけでも欲しくなる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
グレンジャーのレストモッドがこれだけ素晴らしいのですから、ここは三菱自動車にもぜひハッスルしてもらって、ランエボとかスタリオンの再解釈でもしてもらいたいもの。もちろん、デボネアでもいいんですが、需要はあるのかどうか……、と少し心配ではあります。