レーシングカーは別次元の剛性を確保
では、レーシングカーのオープンボディはどうなのか、という話になるが、レーシングカーの場合はモノコックボディ構造(応力外皮構造)ではなく、独立した専用シャシーがあり、そこに外皮となるカウルを被せる構造となっているため、剛性に関してはまったく問題はない。むしろ、フォーミュラにせよスポーツプロトにせよ、上下方向が深く、大きな断面を持つカーボンモノコックでシャシーが形成されるため、量産車とはまったく次元の異なる剛性値を確保している。
量産車の場合は、それでも専用設計となる2シーターオープンはなんとか剛性確保は行えるはずだが(たとえば歴代マツダ・ロードスターの進化過程の例)、4/5シーター乗用車ベースのオープンカー(コンバーチブル)では、どこかで妥協せざるを得ない部分が生じてくることも確かだ。いずれにしても、車体上部に大きな開口部を持つオープンカーは、量産車のモノコックボディ構造ではなかなか理想的な剛性値はとりにくい、ということになるのかもしれない……。
などという見方が、誤りであることを教えてくれる量産オープン2シーターモデルが1台あった。ホンダS2000である。モノコックボディ構造ながら、思い切ったフロアパン構造を採用し、その形状は、まるでレーシングカーが採用する独立したシャシーを彷彿とさせる設計だった。
S2000の場合、9000回転から始まるレッドゾーンの設定と、エンジン/車体とも公道を走るレーシングカーとして企画されていたという印象が強い。量産オープン2シーターとして傑出した存在のモデルだったことが印象深い。