電動ルーフの開閉はオープンカーの晴れ舞台! オーナーが陶酔するレベルの「変形ロボ感」ある機構をもつクルマ5台 (2/2ページ)

動いてる姿はもはや合体ロボットの域

 3台目は、国産車でいまも記憶に残るユニークなルーフ開閉をするクルマといえば、ホンダCR-Xデルソルでしょう。1992年3月に発表されたモデルで、オープンとクーペを1台で楽しめる、それまでとマインドの異なる新しいスポーツを表現するというコンセプトでした。電動トランストップと呼ばれるハードトップの開き方は、当時から「まるでサンダーバード!」と絶賛された独創的なもの。

 作動条件は、エンジンをかけてサイドブレーキを引き、リヤウインドウを閉めた状態で、室内からルーフ両サイドのロックを解除します。メーターバイザーの右にある開閉ボタンを押し続けると、最初にトランクリッドがゆっくりと上にあがってきます。ルーフより少し高い位置くらいまで上がりきると、今度はルーフの後端がチルトアップして、トランクリッドからスーッとスライドユニットが伸びてきて、ルーフに差し込まれます。

 そしてルーフ後端にあるセンターロックを操作すると、ルーフとスライドユニットを接続。再度スイッチを押すと、スライドユニットがルーフごと再びトランクリッド内に収まり、トランクに着地してオープン操作は完了です。時間がかかるうえに、何度もロックやスイッチを押す手間があるのですが、それがまた味わい深くて何度見ても面白いルーフなのです。

 4台目は、 端正なマスクの4シーターオープンカー、フォルクスワーゲン・イオス。2006年に登場した電動ハードトップを持つモデルです。スイッチを押すとまず窓が開き、同時にサンルーフのようにルーフがスライドしていきます。ルーフが後端に差し掛かるところで、パカっとリヤウインドウの部分が上にあがってルーフにかぶさってきます。

 そしてトランクリッド部分が持ち上がり、リヤバンパーの方に倒れるように下がってきます。ここでかわいいのが、小さな羽のようにリヤの窓ガラスあたりのカバーがひょこっとサイドに飛びててくるところ。と同時に、ルーフにリヤウインドウ部分がかぶさった状態のまま、ゆっくりとトランクの深くに格納されます。飛び出てきた羽のような部分は、この動きを邪魔しないためのもので、その後またひょこっと元の位置に戻ります。そして、トランクリッドがガッシリと閉まって、完了です。

 外観とはギャップがある、かなりメカメカしい動きで、超合金ロボに通じる面白さがあると思います。

 5台目は、メルセデス・ベンツのAMG SL。2022年に日本デビューした現行モデルは2+2シーターへと変身し、スポーティさと優雅さを融合したモデルとなりましたが、電動ソフトトップの開き方もまさに、スポーティかつエレガント。なんというか、無駄がない動きなんです。

 最初にサイドの窓が少しだけ下がり、おもむろにルーフ全体が後ろに引き込まれるように折り畳まれ、あっという間にトランクリッドと同じ高さまで下がって収まります。その後、リヤシートのヘッドレスト後方にあったカバーがシャキっと左右に羽のように開いてきて、格納されたルーフとボディの隙間をきっちりと埋めて操作は完了。とても美しい動きで、何度も見たくなってしまいます。

 ということで、静かだったりメカメカしい感じだったり、細かい動きが可愛かったり。開発者の皆さんの苦労がしのばれるような、いろんな機構が見られるオープンカーの電動ルーフは、これからどう進化していくのかにも注目したいですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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