「渋滞だ」からのボタンひとつで翼が飛び出て空で移動……じゃなかった! 世界中で開発中の「空飛ぶクルマ」は想像とは違う乗りものになりそう (2/2ページ)

「好きなように走って好きなように飛べる」は実際には難しい

 そもそも地上を走っているクルマが、変形するなりして空を飛ぶということは考えづらい。現在のクルマに求められる衝突安全性を満たすにはボディが重くなってしまうが、空を飛ぶためには、そうした重さは無駄でしかない。

 タイヤのついた地上を走るクルマと空飛ぶクルマは完全に別物となるはずだ。

 おそらく空飛ぶクルマというのは人が乗れるサイズのドローンのようなカタチになるだろう。

 それでは、空飛ぶクルマは航空機と何ら変わらないと思ってしまうかもしれないが、垂直離着陸できるため滑走路が不要で、従来のヘリコプターより静かで安全、なおかつ低空を飛ぶことで新しいモビリティとして確立されると予想される。

 ユーザーは移動ルートにおける時間やコストを考えて、それぞれのモビリティに乗り換えて利用することになると想像できる。

 地上を移動したほうが効率に優れているときは、いままでどおりのタイヤがついたクルマを使い、ショートカットしたほうが有利なルートでは空飛ぶクルマに乗るといった使い分けをするのではないだろうか。

 自動車メーカーが空飛ぶクルマに投資するのは、「完全自動運転の地上を走るクルマと空飛ぶクルマを組み合わせてシームレスな移動手段を提供するというビジネスモデルを考えているから」、という見方もできる。

 完全自動運転の時代になると、クルマは所有するものではなくなり必要なときにスマホのアプリで呼び出す利用法になると想像できる。そのとき空飛ぶクルマと連携した移動ルートを提供できるようになっていれば、他社との差別化につながるのは明らかなストロングポイントとなるはずだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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