「渋滞だ」からのボタンひとつで翼が飛び出て空で移動……じゃなかった! 世界中で開発中の「空飛ぶクルマ」は想像とは違う乗りものになりそう (1/2ページ)

この記事をまとめると

■「空飛ぶクルマ」はここ数年開発が急速に進歩している

■実際に製品化する際は法律や免許の関係から「どこでも飛べる」は難しいだろう

■自動運転のドローンのようなイメージが現実的

人類の夢「空飛ぶクルマ」を飛ばすための課題とは

 昭和の時代から未来社会を想像したイラストに描かれるモビリティの定番といえば「空飛ぶクルマ」だろう。いわゆる自動車に羽根をつけて空を飛べるように設計したものや、そもそもタイヤを持たない「宙に浮いたクルマ」など、さまざまな姿で空飛ぶクルマは描かれてきた。

 そんな空飛ぶクルマを実用レベルにしようという研究が世界中で進んでいる。たとえば、日本においてもスズキがSkyDrive社と「空飛ぶクルマ」の事業・技術連携に関する協定締結をしている。

 ただし日本では航空法などの関係で、空飛ぶクルマがハードウェアとして実現しても、運用することは難しいという話もある。

 ユーザー目線で考えても、空飛ぶクルマを運転(操縦)するには、少なくとも航空機の操縦資格を持っていることが必要となることは容易に想像がつく。

 あくまで個人ユースを前提とした自家用操縦士を育てるホンダフライングスクールのホームページによると、自家用操縦士となるための訓練期間は15カ月、100万円以上の費用がかかるとされている。そのほか、年齢や肉体的な制限もあるが、空を飛ぶための技術を学ぶためにかかる期間と費用を考えると、誰もが空飛ぶクルマを運転できるわけではない。

 もちろん、限られたユーザーしか乗ることができない空飛ぶクルマを開発する意味はない。基本的に、空飛ぶクルマは完全自動操縦になっていてパイロット不要で、ユーザーはあくまでパッセンジャーという立場を想定しているはずだ。

 そうなれば操縦資格を持たなくても空飛ぶクルマに乗れるようになる。ただし、それはお金を払えば誰でも空飛ぶクルマを利用できるということになる。地上が渋滞しているから「自分だけ空飛ぶクルマで混んだ道を回避する」なんてことは結果的にあり得ないといえる。

 おそらく空飛ぶクルマが完全自動操縦になっている時代には、地上を走るクルマもAIが自動運転レベル5を実現しており、運転するという行為は過去のものとなっているだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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