「エンジン車は全部だめ」からの「合成燃料ならOK」へとEUが転換! エンジン車乗りには朗報だけど「合成燃料」ってそもそも何? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■EUは今後、内燃機関車の製造、販売はすべて禁止するとしていた

■しかし先日、合成燃料を使う車両に限って製造、販売を認めるという内容に方向転換

■そこでこの記事では、合成燃料について詳しく解説する

合成燃料があれば今後もエンジン車に乗ることができる!?

 つい先日、EUから衝撃的な発表があった。当初、EUでは2030年をめどに内燃機関車の製造、販売はすべて禁止、EVに一本化するという姿勢が支配的だった。つまり、乗用車は現状のガソリン/ディーゼル車から、ただちにEVに変更するという認識だった。

 そうした状況のEUで、今年3月下旬に新車製造、販売に関する方針転換の合意事項が発表された。基本的には、2035年以降はエンジン車の製造、販売は一切認められない内容に変わりはないのだが、合成燃料を使う車両に限って製造、販売を認めるという内容だった。

 では、合成燃料とは何か、という話になるのだが、これは水素と二酸化炭素から作られる燃料のことを指している。合成燃料の製造に使う二酸化炭素は大気中にあるものを使用するため、エンジン内の燃焼作用で再び二酸化炭素として大気中に放出されても、プラスマイナスゼロの相殺関係にあり、二酸化炭素の全体量からみた場合には、カーボンニュートラルと考えることができる。よって、EUでは合成燃料を使う車両に限って2035年以降も製造、販売を認める、という新方針に方向修正をしたことになる。

 背景には、VWを筆頭に自動車メーカーが多数あるドイツで、メーカーがドイツ政府を動かし、EUとしての方針転換を行う事態に発展した、というのが実状だ。興味深いのは、ドイツメーカーがEV化一辺倒の姿勢ではなく、内燃機関に対するこだわりを持つことがはっきりとしたということだ。EVの研究・開発、燃料電池車の研究・開発、そして水素燃料車の研究・開発を行うトヨタとしても歓迎できる姿勢転換ではないかと思われた。

 事実、トヨタモーターヨーロッパの社長に就任する中田佳宏氏は「全体の流れが変わったとは思っていないが、小さな一歩として、現実を踏まえる変化が起きた」と述べている。トヨタとしても合成燃料車を認めるEUの方針転換は、歓迎材料のひとつと受け止めている様子がうかがえる。

 余談だが、2026年にパワートレイン系(エンジン、電気モーター)の供給でF1復帰を発表したホンダが、その理由として合成燃料の使用ができることを挙げている。ホンダも、自動車メーカーとして内燃機関が持つ魅力(利点、特徴)を是認しているわけで、無公害(カーボンニュートラル)に対してEVだけが選択肢ではないことを示す姿勢である。


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