新型プリウスは先代より数値が悪化しても燃費は向上!? 燃費と共に語られるクルマの「Cd値」っていったい何? (2/2ページ)

新型プリウスのCd値は先代よりも大きい

 自動車メーカーが燃費性能を向上させるために空気抵抗、すなわちCd値の良化に努めるのは、空気抵抗にはこうした特性があるためで、燃費性能を謳うモデル(たとえばハイブリッド車など)では、空気抵抗(Cd値)を小さくする工夫がデザイン処理で行われていることが見て取れる。実例を挙げれば、プリウスのデザイン変遷を見ればわかりやすいと思う。ボンネットからフロントウインドウにいたるAピラーの立ち上がり角度が、モデルを経るごとに寝た角度となり、車両を正面から見た場合、前面投影面積となる部分の空気流処理に細かな配慮が積み重ねられていることに気付くはずだ。

 補足だが、最新のプリウスはCd値0.27と前モデルの0.24から0.03ほど後退した値となっている。これはボディトップの位置が前モデルより後方に下げられたためで、聞くところによると、これは車両デザインを優先させたための結果だとか。しかし、車両全体が受ける空気抵抗値を悪化させないようにするため、車高を40mm下げたりタイヤ幅を狭めたり(205から195幅)することで、前面投影面積の低減化を図ったり、エンジン効率の改善、車重の増加抑止対策などを煮詰めることで、燃費特性の向上が図られている。

 しかし、Cd値の変化と燃費の関係をたとえば定常的なパーセンテージで捉えることはむずかしい。それは、車両それぞれが持つ特徴、エンジン排気量、前面投影面積、車重、走行抵抗などが異なるためで、現状断言できるのは、Cd値が向上すれば燃費特性の良化につながる、という事実関係だけだろうか。

 ひと昔前、Cd値0.3といえば先進空力、エアロダイナミクスに優れた車両と言われていたが、先代プリウスで0.24、新型クラウンではこれを上まわる数値と聞くと、環境性能時代を迎え、Cd値に代表される空力特性が持つ意味を、改めて実感させられてしまう。


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