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「ハイオク」はパワーの出る燃料って考えは間違い! 「ガソリン」と「軽油」の真実 (2/2ページ)

「ハイオク」はパワーの出る燃料って考えは間違い! 「ガソリン」と「軽油」の真実

この記事をまとめると

■クルマの燃料、ガソリンと軽油について解説

■前者はガソリン車、後者はディーゼル車を動かす

■いずれも今後は無公害性の実現が求められる

レギュラーとハイオクの違いはオクタン価

 いまや人類の日常生活に密着し、必要不可欠なエネルギー源となっている化石燃料(石油)は、燃やすと二酸化炭素の発生源となり、地球温暖化の大きな要因とされているが、では化石燃料とは何なのか、と考えたことはあるだろうか。まだ、ガソリン/軽油をエネルギー源とする自動車が多用される現代を振り返り、化石燃料にはどんなものがあり、その特性がどうなっているのかをおさらいしてみることにしよう。

 まず、「石油」とはなんぞや? という話だが、これは油田から採掘されたさまざまな分子量を持つ炭化水素の混合物、液体と考えてよいだろう。この石油から、ガス、水分、異物などを取り除いた物を「原油」と呼んでいる。この原油を蒸留装置や分解装置を通すことで、比重の小さな順に、石油ガス溜分(LPガス)、ガソリン/ナフサ留分、灯油留分(灯油、ジェット燃料)、軽油留分、残油(重油、アスファルト)が精製されることになる。製品(燃料)の活用方法はそれぞれ異なるが、元は同じということである。

 このうち、自動車用の燃料として使われるのは、LPガス、ガソリン、軽油の3つだが、一般的な燃料は後二者、ガソリンと軽油になっている。では、ガソリンと軽油の違いは何か、ということになる。ガソリンスタンドでリッター当たりの販売価格を目にすると、軽油はガソリンより安く、人間心理としては当然安いほうを選びたくなるが、ガソリンと軽油では燃料としての特性が異なるため、ガソリンで動く機関(ガソリンエンジン)と軽油で動く機関(ディーゼルエンジン)に分けられ、それぞれ機関に合った燃料でしか動かすことはできない。

 では、ガソリンに目を向けてみると、レギュラーガソリンとハイオクタンガソリンの2種類が販売されている。名称どおり、一般、ふつうのガソリンがレギュラーで、それに対してもう一方は、ハイオクタンの名称が使われている。つまりオクタン(正確にはオクタン価)が違い、ハイオクタンはオクタン価が高いのだろう、と推測することができる。

 では、オクタン価とは何か、という話になるが、オクタン価とは、ガソリンがシリンダー内で自己着火のしにくさを表した数字で、耐ノッキング性(=アンチノック性)を意味している。ノッキングとは、本来シリンダー内の燃料(混合気)は、ピストン上死点付近でスパークプラグによる着火作用で燃えなければいけないのだが、シリンダー内の熱やその他の要因で着火してしまい、本来の着火作用とは別の燃焼作用が起きる現象だ。

 厳密に言えば、プレイグニション(点火時期前着火)とデトネーション(広義にいう異常燃焼)のふたつに分けられるが、これらの発生を抑えるため、ガソリンの自己着火点を高める(=自己着火しにくくする)対策が施されることになる。これがオクタン価で、ガソリン成分中で耐ノック性が高いイソオクタンのオクタン価を100、耐ノック性が低いn-ヘプタンのオクタン価をゼロと見なす考え方で、市販ガソリンがどの程度燃えにくい(自己着火しにくい)かを100段階に分けて表示する方法だ。ガソリンと実状は異なるが、水を判断基準にして氷点を0℃、沸点を100℃とした摂氏の温度表記と似たような考え方と言ってよいかもしれない。

 このオクタン価ゼロから100の間で、実際に内燃機関で使って問題なく燃焼するオクタン価の仕様が市販ガソリンとして販売されることになる。実際に市販されるガソリンのオクタン価を見ると、日本ではレギュラー仕様が89オクタン、アンチノック性の高いハイオクタン仕様が96で作られている。じつを言うと、これまでに触れてきたオクタン価は、リサーチ・オクタン価(RON)による測定方法で、ほかにはモーターオクタン価(MON)、アンチノック・インデックス(AKI)といった測定方法も存在している。

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