インテリアはラグジュアリーな雰囲気を演出
ミッションXのインテリアは、左右非対称のカラーリングとなっているのが特徴だ。運転席のヘッドレストとショルダー部分にカラハリグレーを取り入れる一方で、助手席やセンターコンソール、ダッシュボードにはアンダルシアブラウンを採用。インテリアにクラシカルな高級感を与えている。さらに、CFRPシートシェルとモノコックに固定された6点式シートベルトや、モードスイッチとパドルシフトを備えたオープントップのステアリングホイールといった装備類が、レーシングカーとの関連性を感じさせ、ハイパーカーに相応しい華やかさを演出する。
なお、車両には複数のカメラが備え付けられており、「マルチパーパスコントローラー」を使えば走行映像を記録することもできる。録画は車内にあるコントローラのボタンを押すことで簡単に開始することができるから、運転中であっても任意のタイミングで録画可能だ。
また、インテリアでひときわ目を引くのが、助手席側インパネに備え付けられた「バヨネットシステム」というストップウォッチモジュールだろう。これは、プロダクトデザインを担当する「ポルシェ・デザイン」がミッションXのために作成したガジェットで、デジタルディスプレイとアナログ時計盤を組み合わせたもの。サーキットやラリーフィールドで使用できるように設計されており、デジタルディスプレイではラップタイムやドライバーの身体データなどを表示し、一方のアナログ時計でラップタイムを計測する。つまりミッションXでは、ときには助手席の人も、ドライバーとともに戦うコドライバーであることが求められるというわけだ。
ポルシェはミッションXを量産する場合、4つの目標を定めていることも明かされた。それは、「ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて公道走行車で最速のタイムを記録すること」、「重量比出力は1kgあたりおよそ1馬力を実現すること」、「現行の911 GT3 RSを大幅に上まわるダウンフォース値を達成すること」、「900Vシステムアーキテクチャーの充電性能を大幅に向上させ、タイカン ターボSの約2倍の充電速度を実現すること」の4つであり、これら公約を達成しない限り市販しないことを明言した。
ポルシェの近未来的なEVハイパーカーとして登場した「ミッションX」は、これまでポルシェが発売してきた959、カレラGT、918スパイダーといった歴代のスーパースポーツカーの後継モデルとして、ブランドの目指すべき新たなハイパーカー像を見事なまでに具現化した。ポルシェが課した公約が達成されない限り市販化されることはないが、高い技術力を持つポルシェであれば、必ずや公約を達成して我々の前にミッションXを送り出してくれることだろう。その日が来るのを楽しみに待ちたい。