この記事をまとめると
■フォルクスワーゲンのEVラインアップ「ID.シリーズ」を紹介
■「ID.」は2016年にコンセプトモデルで提案され、2020年のID.3発売でシリーズが開始した
■現在ID.は3・4・5・6・7・BUZZの6モデルを発売し、今後は「2」をリリース予定
フォルクスワーゲンが展開するEVのサブブランド「ID.」
「厄介なことしやがって」と、いまのフォルクスワーゲン首脳陣はドイツ政府やEUに対して、口元を歪めていること間違いありません。なんとなれば、2035年にはEUでエンジン車の販売を禁止するというのがあっけなく撤回されてしまい、せっかく投資したEVラインアップ「ID.シリーズ」の存在価値が薄くなりかねないからです。もっとも、利に敏い彼らのことですから、「おいおい、ゴルフ復活のチャンスかよ」とほくそ笑んでいる可能性も捨てきれません。いずれにしろ、ID.については注目しておくのがよろしいのかと。
2016年、パリモーターショーで発表された「ID.」は、「Electric for all」のかけ声とともにフォルクスワーゲンらしい2ボックスカーをまったく新しいEVとして作り上げた最初のモデル。それまでもEVのコンセプトカーはタクシー専用の「ミラノ」などがありましたが、マーベルのシネマティックユニバースかのような体系化はされておらず、いわばこのID.はフォルクスワーゲンのEVワールドにおけるアイアンマン的なポジションだったかと。
そして、2020年にはついに市販車としてID.3が発売されると、フォルクスワーゲンの思惑どおり欧州でバカ売れ! 1年で14万台あまりの注文を受け、その半数近くが同社のクルマを初めて購入するユーザーとか、フォルクスワーゲンの戦略が大当たりだった証しにほかなりません。
フォルクスワーゲンの新世代を代弁するようなスマートなフォルムと、e-Golfとはまったく違うEV専用シャシー「MEB」の導入をはじめとしたプラクティカルなパッケージで、つい先ごろフェイスリフトを実施。このモデルは国内導入の噂もあります。
ID.3が2ボックスカーのハッチバックスタイルだったのに対し、次のモデルとなったID.4は市場のトレンドどおりクロスオーバーSUVとして2022年に国内へと導入されました。125kWと150kWの2モデルが用意され、最大航続距離もそれぞれ388km、561km(WLTCモード)を達成するなど、手堅い仕上がりは市場でも高く評価されています。
で、このID.4を「クーペ」にしたのがID.5となるのですが、ドアは4枚あって、ハッチバックもID.4と同じく採用しており、「どこがクーペやねん?」となるのですが、フォルクスワーゲンに言わせると「よりフラットなルーフを採用」ということでクーペなんだそうです。
ただし、3種のパワーユニットが用意され、もっともパワフルな4WD仕様の「ID.5 GTX」は220kW、460Nmを発揮しながら490kmの最大航続距離を実現するなど、高性能化はぬかりありません。つまり、クーペを気取る分だけ商品価値も上がっている、と捉えて差し支えないかと。