この記事をまとめると
■2018年にDSが発表した「X E-TENSE」は左右でスタイルやディメンジョンが異なる
■XE-Tenseのコンセプトは「2035年に走るラグジュアリーカー」
■奇抜でハイセンスなデザインをさせたらフランスメーカーの右に出るものはない
左オープン右キャノピーのアシンメトリースポーツカー
DSのXE-Tenseを初めて目にした方、とりわけクルマ業界に精通した方なら「ニコイチ」なんて言葉を思い浮かべたかもしれません。
なにしろ、クルマの左側はオープンコクピットのスポーツカーでありながら、右半分はキャノピーに覆われてボディサイズすら非対称。あたかも、2台のクルマを無理やり合体させたかのようなスタイルこそ、ニコイチ(二個を一個に)を想起させるのですが、フランス人に言わせると「アシンメトリー(左右非対称)」といったヘアスタイルみたいな表現(笑)。国が違えば価値観も大いに異なることを教えてくれる、X E-Tenseはとてもいいサンプルとなりそうです。
そもそもDSはフランスのPSAグループにおけるラグジュアリー分野を担うブランド。X E-Tenseも、大勢いるデザイン担当者のひとりによれば「(XE-Tenseで)フランスと、ラグジュアリーを想起してもらえると うれしい」とコメントしています。
もちろんX E-Tenseは「2035年に走るラグジュアリーカー」というコンセプトを掲げたエクスペリメンタルモデルなのですが、DSの偉いところはエクスペリメンタルモデルに投入したデバイスやモチーフ、あるいは技術を「わりかし」市販車に反映しているところかと。
たとえばDSのアイコンともいえるパールトップステッチは、最初こそコンセプトカーむけにフランスの伝統的な縫い方を職人に頼って再現していましたが、これを量産車むけにアレンジ。なんとパールトップステッチができるミシンを開発してしまったそうです。ちなみに、パールトップステッチでもっとも有名なものは、言わずと知れたシャネルのオートクチュール(注文婦人服)とされています。