ドライグリップ力とウエットグリップ力は相反関係にある
また、水膜の厚みによってもウエット性能は異なってくる。路面が水濡れただけの状態なら、ウエットグリップ力は溝による排水性能ではなく、トレッドコンパウンドのグリップ力に左右されることになる。世界耐久選手権(WEC)用にミシュランが開発した「ハイブリッド・インターミディエイト・タイヤ」は、排水用の溝がないにもかかわらず、多少のウエット路面なら走れてしまうという驚くべき性能を備えていた。
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さて、スポーツタイヤの溝面積が少ないのは、いうまでもなくドライグリップ力を重視したためで、ウエット性能は雨天走行時に不満のないレベルを確保することに主眼が置かれている。積極的に、ウエット性能に強いと謳うハイグリップタイヤはほとんどなく、代わりにスポーツ性とウエットグリップ力(排水性能とウエットブレーキ性能)を高次元で両立させたプレミアムスポーツ(場合によってコンフォート性も重視)タイヤが商品化されている。
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逆に、溝面積の多いタイヤは、ほとんどの場合ウエット性能に優れるが、エコタイヤなどは耐摩耗性に優れたコンパウンドや、騒音の発生が小さなトレッドブロック形状、あるいはタイヤの構造(ブロック剛性、サイドウォール剛性などケーシング剛性)によって性能に違いが生じてくるので、一概に見た目でタイヤの性能を判断することは難しい。
一般論だが、接地面積が大きければグリップ力は高く、溝面積が大きければ耐ウエット性能に優れている、という判断でよく、ドライグリップ力とウエットグリップ力の関係は、相反関係にあると考えておこう。