この記事をまとめると
■「ながらスマホ」は道路交通法違反であり、罰則も強化された
■最近のクルマに採用されるタッチパネルの操作はながら運転に該当しないのだろうか?
■ツールが車体に固定されていれば違法ではないが、注意すべき点も
画面の注視は違反だが操作は違反にならない
クルマのインフォテインメントシステムの操作は、従来の物理ボタン・物理スイッチに変わり、タッチパネルを採用するのが主流になってきている。
一方で運転中にスマートフォンや携帯電話で通話したり、画面を見たり、操作する「ながらスマホ」に対する取り締まりは強化され、2009年12月から厳罰化がはかられたのはご存じのとおり。
「ながらスマホ」は道路交通法違反で、罰則も強化されたのに、タッチパネルの操作は合法なのか? と思うかもしれないが、運転中にスマホなどを手に持って「保持」して操作するのは違法だが、スマホホルダーを含め、ツールが車体に固定されている場合、操作自体は違法性を問われないルールになっている。
つまり、車載のタッチパネルの操作は、一応合法だということだ(ツールが固定されていても、画面を注視するのは道交法違反で取り締まりの対象)。
しかし、タッチパネルでの操作は、旧来の物理ボタンに比べて操作時間が4倍も余計にかかるというデータもあり、NHTSA(アメリカ運輸省道路交通安全局)は、2013年に「インフォテインメントシステムのタスクは1つ2秒未満(合計でも最大12秒)で完了できるように」と推奨しているほど。
ところが実際のタッチパネルの操作では、1つのタスクで30秒から40秒もかかることがあり、その危険性は以前から指摘されている(政府広報オンラインや、警察庁のHPにも、「各種の研究報告によれば、(画面を)2秒以上見ると運転者が危険を感じるという点では一致」と明記)。
自動車メーカーにもユーザーからタッチパネルから物理ボタン・物理スイッチに戻して欲しいというリクエストは届いており、モデルチェンジの際、いくつかの操作を物理ボタンに戻した例もいくつかあるほど。
国産車でいえば、日産車は物理ボタンをキープし続けていることで知られているが、複数の物理ボタンをつけるより、タッチパネルにしたほうが製造コストが安いという事情もあり、物理ボタンに回帰する気配は消極的だ。
いずれにせよ、「ながらスマホ」「ながらタッチパネル」をNGとするのは、誰のためでもなく、運転者自身のリスクを減らすためなので、罰則の有無に関係なく、タッチパネルを操作するときは、安全な場所にクルマを止めてからにしよう。