そもそもオモチャみたいなクルマとはなんぞや?
はたして、小さなボディと丸目ヘッドライトが組み合わさればミニチュアカー的なのだろうか。
いまでも中古車市場で見つけることのできるサンプルとして、1990~2000年代に登場した、軽自動車のレギュレーションサイズよりコンパクトな2台のモデル「スズキ・ツイン」と「ダイハツ・ミゼット2」を思い出してみたい。
樹脂バンパーが目立つツイン、いい意味で寸詰まり感のあるボディはたしかにおもちゃ的で、大きなヘッドライトもボディにデフォルメ感を演出している。もっとも、このヘッドライトは上下分割デザインで、夜間に点灯するとツリ目というかジト目のような雰囲気へと変身するのも擬人化したくなるところ。
ミゼット2の砲弾タイプのケースに収められたヘッドライトとフラットなフロントパネルは、どこかイセッタにも似ているように思えるが、だからこそ両モデルにおもちゃ的なかわいさを感じるのかもしれない。
さて、ここまで5台の“おもちゃ感”のあるクルマを、筆者の独断と偏見によってピックアップしてきた。そもそも、このチョイスに異論ありという方もいるだろうが、これらのモデルに共通する要素である「小さなボディ」と「丸いヘッドライト」という条件を満たす現行モデルはあるのだろうか。
小さなボディという条件でいえば軽自動車が思い浮かぶが、トヨタ「C+pod」のような超小型モビリティ、ひとり乗りミニカーであるトヨタ車体「コムス」といったモデルも候補となるだろう。
丸目の印象が強い軽自動車で、ボディが小さく見えるモデルといえば、スズキ・ジムニーが有力候補となるだろう。ほかにもスズキ・ハスラーやホンダN-ONEなど丸目の軽自動車は数多いが、本格クロカン4WDというカテゴリーの中でジムニーが突出してコンパクトなこと、小さなボディに16インチの大径タイヤを履いているアンバランスさも、どこかおもちゃ的だ。
新しいカテゴリーであるマイクロモビリティのC+podについては、たしかに街中を走っている姿はどこかユーモラスでミニチュア感はあるが、異形ヘッドライトはおもちゃ的というよりは未来的。一方、コムスの砲弾ぽい造形に丸いランプを収めたフロントマスクは、おもちゃ感があると感じてしまう。
そういえば、かつてトヨタは東京おもちゃショーに、子どもが運転できるクルマ「カマッテ」シリーズを出展していたことがある。
そのコンセプトはさておき、これも丸いヘッドライトを与えられていたのは、それこそが“おもちゃ感”のキーとなるデザイン要素であることを示しているのかもしれない。