「開発車両」たちがガチレース! メーカーが全力を投入するスーパー耐久の「ST-Q」クラスの盛り上がりがヤバイ (2/2ページ)

各メーカーの開発モデルが素晴らしいパフォーマンスを発揮

 まず、最大の注目を集めていたのが、水素エンジンを搭載した32号車「ORC ROOKIE GR COROLLA H2 concept」で、世界で初めて液体水素を採用したことだ。液体水素は気体水素に比べて充填量が約1.7倍も増えることから、より多くのラップを重ねることが可能で、途中、パーツ交換を強いられたものの、327周で完走を果たしていた。

 一方、ホンダのワークスチーム、Team HRCがST-Qクラスに新規参入を開始。カーボンニュートラル燃料を使用した271号車「CIVIC TYPE R CNF-R」を投入したことも2023年のトピックといっていい。初参戦ということもあってマイナートラブルが発生したものの、271号車は520周で完走を果たした。

 また、MAZDA SPIRIT RACING の55号車「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA 3 Bio concept」も2023年の大会に合わせて最高出力300馬力までアップした2200ccのディーゼルエンジンを搭載するなどアップデートを実施。

 ドライバーのひとり、堤優威によれば「パワートレイン的に厳しいところがあったんですけど、パワーアップをした結果、ST-4クラスのマシンやST-QクラスのスバルBRZと争えるようになりました。エンジンが大きくなったことでフロントヘビーにはなっているんですけど、足まわりをうまくまとめているので走りやすくなりました」とのこと。その結果、途中、マシントラブルに祟られたものの、529周でチェッカーを受けた。

 そのほか、Team SDA Engineeringのエンジニア、竹内源樹は「2023年はモーテックのメーターを使用して表示の認識性を高めました。そのほか、昨年のデータをもとに信頼性を高めています」と語るように61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」も細部の熟成を果たしたことにより638周で完走。

 さらに230号車「Nissan Z Racing Concept」も685周、28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」は640周と、過酷な24時間レースを走破したことで、各メーカーの開発モデルは素晴らしいパフォーマンスを発揮した。

 まさにST-Qクラスのマシンは近未来を感じさせる開発車両で、しかも、そのパフォーマンスはほかのクラスに参戦する既存のマシンを凌駕するほどレベルが高い。噂によれば、Team HRCはカーボンニュートラル燃料を使用した271号車「CIVIC TYPE R CNF-R」のほか、もう一台、シーズン終盤には違うコンセプトを持つマシンを投入すると言われているだけに、今後の動向に注目したいものだ。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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