多少高くてもターボのほうがお得となる場合も
国内の最多販売車種とされるN-BOXの場合、ノーマル(自然吸気)エンジンの最高出力は58馬力(7300回転)、最大トルクは6.6kg-m(4800回転)だが、ターボは64馬力(6000回転)・10.6kg-m(2600回転)に増強される。実用的な性能を左右する最大トルクは、ノーマル(自然吸気)エンジンの1.6倍だ。1.7倍に達する車種もある。
その一方でN-BOXの場合、WLTCモード燃費はノーマルエンジンが21.2km/Lで、ターボは20.2km/Lだ。ターボは動力性能を1.6倍に高めながら、燃費数値は5%しか悪化しない。
軽自動車は前述のとおり、スーパーハイトワゴンを中心に、エンジン排気量の割にボディが極端に重い。その結果、エンジンの負荷が増えて、ギヤ比もローギヤード化されて回転数を高める。これらが燃費に悪影響を与えた。
この欠点がターボの装着で軽減されるから、動力性能を大幅に高めながら、燃料消費量はあまり増えないわけだ。軽自動車のターボは、高性能かつ低燃費で効率の優れた実用メカニズムになる。
価格はどうか。N-BOXの標準ボディで比べると、ノーマルエンジンのL・2WDは159万9400円で、Lターボ・2WDは179万8500円だ。Lターボは19万9100円高いが、ノーマルエンジンのLがオプション設定にするサイド&カーテンエアバッグと、右側スライドドアの電動機能が標準装着される。さらにパドルシフトや本革巻きのステアリングホイールなども追加される。これらの価格が約13万円に換算されるから、ターボの正味価格は6〜7万円に収まる。
従って軽自動車を買う時は、販売店の試乗車で、頻繁に使う登り坂などを走っておきたい。このときにパワー不足を感じたら、買い得なターボエンジン搭載車も検討するのが最適解。エンジン排気量が極端に小さな軽自動車では、ターボの推奨度が高いから、積極的に購入したい。
メーカーは、装備を抱き合わせで装着しない買い得度のわかりやすいターボを用意して、ユーザーが積極的に選べるようにすべきだ。せっかく標準ボディのターボ仕様を開発しながら、これを廃止するのは、非常にもったいない。