キャプテンシートのひじ掛けの振動も気になる
パワーユニット別のウィークポイントでは、まずベースグレードの2.5リッターエンジンの場合、さすがに2t超えのボディには少々力不足の感あり。巡行時にはそれほど不満はないものの、発進時の加速は穏やかで、エンジンを回すシーンではノイズもそれなりに高まってしまう。
一方、3.5リッターV6エンジンはさすがに308馬力を誇るだけあって、アルファードのなかでもっとも強力、豪放な加速力を示すものの、WLTCモード燃費9.9km/Lと、ハイブリッドの14.8km/Lに比べ、燃費性能は決していいとは言えず、なおかつハイオクガソリン仕様となってしまうのだ。経費で落とせるユーザーはともかく、ファミリーミニバンとして使うには、税金を含め、ランニングコスト的に辛くなってしまうことになる。よって、パフォーマンスと燃費性能、AC100V/1500Wコンセントの用意などを総合すると、ベストグレードは2.5リッターエンジン+2モーターのハイブリッドということになる(価格は別にして)。ただし、ノア&ヴォクシーとは違い、ハイブリッド車はE-fourと呼ばれる電気式4WDしか選べない世代となる。
それに加え、マイナーチェンジのたびにグレードアップされてきた先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスも、ノア&ヴォクシーなどと比べると一世代前のバージョンで、日々の運転でも助かるプロアクティブドライビングアシスト(PDA)、トヨタチームメイトなどは未搭載なのである。
最後に指摘したいのは、特等席となる2列目キャプテンシートの上級バージョンの場合、ひじ掛けの振動が消し去れていないことが挙げられる。デビュー当時から筆者が開発陣に指摘してきたことだが、豪華すぎるだけにシートが重く、重心が高く、ひじ掛けに蓋がついていることもあって、路面によってびりびりとした振動が発生することがある。ここは新型でぜひ改善してほしいポイントだと思っている。
とはいえ、現行アルファードに大満足して乗っているユーザーにとっては、そんなウィークポイントを上まわる魅力を感じているはずで、VIPや芸能人の送迎車として大活躍し、一般ユーザーからも大きな支持を得ているのが現実だ。そして新型がデザイン、居住性、走行性能、先進運転支援機能などに至るさらなる魅力を持って登場することは間違いなく、かつてのクラウンがそうであったように、歴代を乗り継ぐアルファードのロイヤルカスタマーがこの先、急増することは間違いないと思える。