ドライバーは「ポテンザRE-71RS」に好印象
もちろん、ドライバーからの評価も高く、GT86/BRZカップでも活躍するほか、富士24時間レースでは88号車「村上モータースMAZDAロードスター」で参戦した岡本大地選手は「市販ラジアルタイヤは1ラップでピークが来て、すぐにタイムが落ち始める印象があったんですけど、ポテンザRE-71RSはタイムの落ち方がフラットですし、フィーリングもとても良くて扱いやすい。スリックタイヤはピーキーなんですけど、市販ラジアルは発熱もいいし、安定しているので想像以上にパフォーマンスの高いタイヤでした」と分析する。
ちなみに「溝付きタイヤは独特で、サスペンションの柔らかさにもよると思うんですけど、僕たちのクルマでは新品で溝が深いほど表面が動いて発熱しすぎてしまうので、僕たちのクルマはあえて溝の浅い古いタイヤを使用しました」とのことだ。
一方、50号車「LOVEDRIVEロードスター」で参戦したベテランドライバー、大井貴之選手も市販ラジアルタイヤでのレース参戦については前向きで「スーパー耐久の前進となるN1耐久の頃はスリックタイヤではなく、溝付きタイヤでレースをしていたからね。その頃はSタイヤだったけれど、いまのハイグリップラジアルはパフォーマンスが高いから問題はないよ。それに溝があるタイヤはセットアップの違いやドライビングの違いがよく出てくるので面白いと思う。普通に市販されているタイヤだからロードスターやデミオ、フィット、ヤリスなどST-5クラスの参戦車両に乗っているユーザーにも車高やアライメントの参考になると思う。ハンコックのスリックもロングライフだったけれど、RE-71RSもロングライフだからまったく問題ないよ」と語る。
さらにスーパー耐久で活躍するほか、ジムカーナでハイグリップラジアルを使用し続けてきた山野哲也選手も72号車「OHLINS Roadster NATS」で参戦していたのだが、ポテンザRE-71RSについては「かつてN1耐久もSタイヤでレースをしていたから懐かしいよね。でも、RE-71RSはよりストリート向けのタイヤだし、量販店でも購入できるので身近な存在だと思う」と前置きしたうえで、次のように語っている。
「耐久レースで使用するのは初めてだと思うけれど、RE-71RSはびっくりするほど長持ちするし、タイムも急激に落ちることはない。たしかにピークのグリップはハンコックのスリックタイヤよりは落ちるし、タイムも少し落ちるけれどゴムのレベルとしては高温向けのハンコックのスリックタイヤに対して、RE-71RSは低音向けで温度依存が低いので、路面温度が低くても高くてもちゃんと走れるから走りやすい。セッティングもハンコックのスリックタイヤと大きく変わらなかったよ」と好感触だ。
まさにハイグリップラジアルタイヤに対するドライバーの評価は高く、コースサイドから見ていても、スリックタイヤと遜色のないコーナリングを披露。しかも、リーズナブルとなっていることから、このまま市販ラジアルタイヤでもいいのでは……と思ってしまうが、ブリヂストンでは供給が可能となり次第、スリックタイヤに切り替える予定となっているだけに、2023年の富士24時間レースは市販ラジアルタイヤが使用されたレアな一戦であり、ブリヂストンのハイグリップラジアルタイヤの性能をアピールする一戦となったに違いない。
なお、ST-4クラスでは60号車「全薬工業 G/MOTION’GR86」が優勝。ST-5クラスでは17号車「DIXCELアラゴスタNOPROデミオ」が勝利を飾っている。