「いや、私もスーパーカーなんですけど……」なぜか少年達の目線を奪えなかった「70年代ブーム時の」不人気車たち (2/2ページ)

スーパーカーは輸入車であることが条件だった

 フェラーリと同様に、伝統のレーシングカー、そしてスポーツカーメーカーであるマセラティも、常に脇役に徹したブランドだった。V型8気筒エンジンをミッドに搭載するボーラ、同様にV型6気筒エンジンを用いたメラク。それらは歴史的に見ても、マセラティの全盛時代を誇ったスポーツカーであったにもかかわらず、なぜか日本の少年はその魅力に気づくことは少なかった。インディやカムシンなどは、その存在すら知らない者も多かっただろう。

 ポルシェ911も、カレラRS 2.7、いわゆるナナサンカレラや、930ターボといったスペシャルなモデルが人気の中心だった。とくに後者は「ターボ」という未知の言葉が少年の言葉を刺激し、それとともにレーシングカーさながらのダイナミックな外観で人気を集めることに成功した。

 一方で、スタンダードなポルシェ911からは、少年の視線は徐々に離れていったという記憶がある。この911ターボに先がけて、ターボの搭載に成功していたBMWの2002ターボもスーパーカーブームを華やかに彩った1台だが、ほかにBMW作のモデルとなると、スーパーカーブームのときにはほとんど存在感はなかった。

 そのような事情は日本車に関しても同様。もちろん日本車のなかにも、トヨタ2000GTやスカイライン2000GT-Rなど、高性能で希少なモデルは存在していたが、当時はスーパーカーといえば輸入車のことを意味していたのだろう。残念ながらこれらのモデルが大きな話題となることは非常に稀なことだった。

 はたして、いまスーパーカーショーを企画したら、そのラインアップはどのような姿になるだろうか。それは1970年代のときとは比較にならない興奮と刺激を与えてくれるものになることは確かなはずだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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