バグの修正は安全につながるため受け入れるべき
たとえば、カーナビの地図データについては定期的に新しいデータに書き換えるというのは多くのユーザーが実施しているだろう。アップデート費用をきらって古い地図データのまま使っているユーザーもいるかもしれないが、利便性を考えてアップデートを拒否するというユーザーはほとんどいないはずだ。
制御プログラムのアップデートについても同様といえる。たしかにバグによって本来は使えない機能が利用できる状態になっていたことに気づいていた一部のユーザーに限れば、そうした「裏ワザ」が使えなくなる可能性があるアップデートは拒否したくなるかもしれないが、こと自動車におけるバグの修正というのは、安全につながることなので受け入れるべきだ。
まして、プログラムのバグが保安基準に抵触する内容で、アップデートがリコール案件となっているケースでは、ユーザーは拒否してはいけない。リコールは「メーカーの無償修理」という風に思っているかもしれないが、所有しているクルマを保安基準に適合した状態を維持するのはオーナーの義務といえるものであり、リコールなど保安基準に関わる内容の場合はアップデートを実施しないというのはあり得ない。
いずれにしても、コネクティッドカーが当たり前となるこれからの時代においてプログラムのアップデートというのは、車両に搭載する通信機能を利用して自動的に行うものとなっていくだろう。
コネクティッドカーの機能として「OTA(Over-the-Air)」という言葉を目にしたことはあるだろう。これは、インターネット経由で車両ソフトウェアのアップデートを行うことで、すでに採用しているクルマも出てきている。
現時点では、ソフトウェアアップデートするにはディーラーに車両を持ち込み、そこで専用機器につないで書き換える必要があった。前述したbZ4Xとソルテラのケースでも、OTAではなく、従来型の対応をしている。
しかし、最新の通信機器やフラッシュメモリなどを使うことで、理論的には走行しながら制御プログラムをアップデートすることができる未来も見えている。とくに自動運転機能などは、バグの存在がまさしく命とりとなってしまうことも考えられ、OTAによるアップデートは欠かせない機能となっていくことは間違いない。