この記事をまとめると
■ほかの物品やサービス同様に新車の値上げが目立っている
■値上げと人員不足から新車ディーラーも厳しい状況にある
■今後は「ドアバイザー」「フロアマット」の取り付けなども購入者が行うようになる可能性も
新車の「卸売り出荷価格」もディーラーの工賃も値上げが始まった
新年度に入り、日本車でも車両価格の値上げが目立ってきた。というものの、まだまだ値上げした車種は限定的と言っていいだろう。ただ、“メーカー希望小売価格”などとも呼ばれる“車両価格”が値上げされていなくとも、メーカーからディーラーへの“卸売り出荷価格”のようなものはすでに広範囲にわたり値上げされているようである。
そのため、利益確保のために車両価格からの値引きをはじめ、下取り査定額の上乗せや用品からの値引きなどが以前に比べると引き締められてきているのが現状となっている。値引きを引き締めるといっても、いままでのレベルから急激に値引きを少なくすれば新車の売れ行きにたちまち悪影響を及ぼすことになる。現状では“気持ち程度”に値引きを引き締めているケースが目立つが、今年1月から正式発売された新型プリウスは際立った車両価格の上昇を抑えている代わりに、“原則値引きゼロ”を貫いている。
ディーラー併設のサービス工場における、点検及び整備作業などの工賃も値上がりを見せている。これは各ディーラー単位で設定可能なので、最近ではかなりバラつきも出ているというので、新車購入時に気になる人は作業工賃の比較検討も行うことをおすすめする。
またディーラーとしては自社の利益全体を見れば、値引きを引き締めたところで“焼け石に水”状態。もっとも効果的なのは人員削減だが、メカニックもセールスマンも“働き手不足”状態ともいえるほど、十分な人員確保ができていないので、なかなか減らすこともできない。そのため、メーカーから配車された新車を最終チェックしながら、用品を取り付ける現場を閉鎖し、人員削減を行うディーラーも目立ってきている。
あるディーラーでは、フロアマットやサイドバイザーなど用品の取り付けを、各店舗のメカニックが行うことになったとのこと。メカニックも十分な人数が確保されていないなか、終業時間内はまさに“分刻み”で入庫される車両の点検・整備を行っている。そのようななかで新たな業務が増えたので、いつ作業を行っているのか探ってみると残業して作業を行っているようである。新たに人を雇うよりは残業代を払ったほうが会社としては負担が軽くなるという判断のようだ。