この記事をまとめると
■日本市場における現在の新車販売台数の中身を分析
■外部から充電する電動車はわずかしか売れていない
■日本の住宅事情を考えるとこの先市場拡大の可能性があるのは「軽EV」
BEVやPHEVを購入することでメリットが生まれる人が少ない
2022年度(2022年4月から2023年3月)の国内新車販売状況を振り返ると、軽自動車が39%を占めた。そして軽自動車の販売比率は、商用車が高く、2022年は55%に達した。従って乗用車に限ると軽自動車の比率も下がるが、それでも国内新車販売台数に占める割合は36%だった。
そして近年では、ハイブリッドや充電の可能なプラグインハイブリッドも売れ行きを伸ばし、サクラやeKクロスEVの発売によって電気自動車も増加傾向にある。
新車として売られた乗用車(小型/普通車+軽自動車)に占める電動車の割合は、2022年度は47%に達した。このなかには小さなモーターを搭載するマイルドハイブリッドも含まれるが、今は乗用車の約半数が、何らかの方法でモーター駆動を採用する。
そしてフルハイブリッド+マイルドハイブリッドに限定すると、新車として売られた乗用車に占める割合は44%だ。つまり日本で売られる電動車の大半が、フルハイブリッドかマイルドハイブリッドになる。
それ以外の電動車は、プラグインハイブリッドが1%、エンジンを搭載しない純粋な電気自動車が2%で、燃料電池車は0.01%だ。つまり充電機能を備えたプラグインハイブリッドと電気自動車は、両方を合計しても乗用車全体の3%に過ぎない。
プラグインハイブリッドと電気自動車の売れ行きが鈍い背景には2つの理由がある。まず日本では、充電機能を備えないハイブリッドの存在感が圧倒的に強く、それ以外は弱いことだ。
初代プリウスが世界初の量産ハイブリッドとして発売されたのは1997年で、その後にハイブリッドは搭載車を急速に増やし、低燃費かつ環境性能の優れたクルマとして普及した。2009年に登場した3代目プリウスは、2010年と2012年に、1か月平均で2万6000台以上を登録している。
日産から初代リーフが発売されたのは2010年の末だから、電気自動車は、ハイブリッドが行き渡った後に登場した。2011年に発売された初代アクアも、燃料代と価格がきわめて安い。3代目プリウスやアクアがあれば、低燃費で環境性能の優れたクルマに対するニーズは十分に満たされ、航続可能距離の短い電気自動車を買う必要はなかった。
またプラグインハイブリッドは、補助金を含めても価格が高い。とくにプリウスは普通のハイブリッドでも燃費が優れていたから、プラグインハイブリッドは割高でニーズも低かった。