ガチレースなのにハードルは低い! 参戦費用激安でS耐ドライバーでも勝てない「N-ONEオーナーズカップ」が面白すぎる (2/2ページ)

兄弟や親子でも気軽に楽しめるワンメイクレース

 また、N-ONEオーナーズカップを親子で楽しんでいるファミリーもいる。関東から遠征した45号車の塚原臣吾選手は「もともと父がN-ONEオーナーズカップに出ていたし、僕も免許を取ったので3年前にデビューしました」と語るように、5号車で参戦する塚原和臣選手を父に持つ二世ドライバー。

「クルマはワンメイクなんですけど、タイヤやダンパーは選べるのでセッティングの幅が広いところが面白いですね。デビューしたときはビリだんたんですけど、一生懸命に練習してようやく上位で争えるようになりました。なかなか勝てないけれど、そこがまた楽しい」と息子の臣吾選手が魅力を語れば、父の和臣選手も「私は6年前にN-ONEオーナーズカップでレースを始めたんですけど、本当に奥の深いレースで面白い。私は初代のJG1型で参戦しているんですけど、岡山のようなテクニカルコースでは十分に戦えるので楽しいですね」とのことだ。

 ちなみにオートポリス戦では、45号車の息子・臣吾選手が予選で14位、決勝で12位にとどまり、5号車の父・和臣選手は予選6位、決勝5位で完走。なお、同レースでポール・トウ・ウインを達成した55号車の塚原啓之選手は、5号車の塚原和臣選手の弟で、まさに親子&兄弟でレースを楽しんでいる。

 このようにN-ONEオーナーズカップは多くのビギナーを魅了しているが、その一方で、レース経験の豊富なエキスパートのなかにも、この軽自動車のワンメイクレースにハマっているドライバーは少なくない。かつて、ニッサンGT-R NISMO GT3でスーパー耐久に参戦していたGAMISANもそのひとりで、「一度、レースを辞めたんですけど、いまのチームから声をかけてもらって、3年前にN-ONEオーナーズカップに参戦しました」とのこと。

 さらに、「ある程度は自信を持っていたんですけど、いざ参戦してみるとデビュー戦は予選が30番手ぐらいでした。本当はパッと勝って辞めるつもりだったんですけど、かなり難しいカテゴリーで、手軽に参戦できる一方で、スピードを落とさないように無駄のない丁寧なドライビングが求められるので、そこにハマりました。初心者はもちろんですが、経験者にとっても楽しめるカテゴリーで、なかなか勝てないところが面白いですね」と語る。

 ちなみに3号車のGAMISANはオートポリス戦で予選10位、決勝8位で完走。

 このようにN-ONEオーナーズカップにはさまざまなドライバーが参戦しているが、ワンメイクゆえにマシンの性能差は少なく、いたるところでサイド・バイ・サイド、テール・トゥ・ノーズのバトルが展開されていることも同レースの特徴だ。スーパーフォーミュラのように絶対的なスピードや迫力満点のサウンドはないものの、静かに繰り広げられている接近戦が見どころとなっている。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
好きな有名人
石田ゆり子

新着情報