この記事をまとめると
■桂 伸一がホンダNSXタイプSに試乗
■世界350台・日本30台の限定販売で展開されていた
■ベース車と比較してあらゆる点が改良された完成形となっている
ダイレクトにしてスムースな走り
世界350台・日本30台の限定販売で、すでに完売したNSXタイプSに桂 伸一が改めて試乗した。しかも、2020モデルの通常グレードと比較するという貴重な体験を通じて、その進化ぶりを再確認。第2期NSXの最終形は、次世代モデルへの期待値をおおいに高めるほどの完成度だった。
第2期NSXの最終進化形 比類なき俊敏さとダイレクトさ
まだ進化する余地があったか!? と第2世代最後のNSXタイプSに試乗して思った。
世界限定350台、うち”本国”日本へわずか30台の超プレミアモデル。もちろんすでに完売している。なのに試乗会を開く意味はどこに!?
開発責任者の水上 聡さんの技術解説を聞くなかで「レスポンス向上とスムースな伸び」が印象に残る。NSXに乗ってレスポンスもスムースさにしてもマイナス要因を感じたことがないからだ。タイプSのためにずいぶんとコストを掛けたことがわかる。
V6ツインターボはターボとブースト圧、インジェクターとインタークーラー変更でパワー/トルクとも向上した581馬力〜610馬力/646Nm〜667Nm(上限値はモーターも含めたシステム最高数値)。フロントモーターを20%ローレシオ化してよりFWD率を高めAWD走行範囲も広がる。バッテリーは出力と使用可能範囲を拡大。
乗り込み、スタートスイッチONでV6は軽くひと吠え。即エンストする。Dレンジに入れるとEVで走行開始。こんなにEV走行続いたっけ!? と思うほど街乗りのほとんどをEVスーパーカーとして走り抜ける。
試乗コースは静岡県の御殿場市街地から神奈川県の箱根へ。生憎のウエット路面だが、タイプS専用に開発したP ZEROのタイヤパフォーマンス、それに合わせて低速も高速側も磁性体ダンパーの減衰領域を拡大した乗り味がいい。街乗りから峠の中速走行でも、凹凸を滑らかに吸収して心地いい。
同時に連れ出した2020モデルのNSXと比較する。開発陣が言う、レスポンスの意味がわかる。アクセルに対するレスポンス、ステア操作に対してのレスポンスもなるほど、タイプSはアクセルを踏むと同時、ステア操作も切ると同時。とくにフロントから引っ張る駆動力が大きい関係か、舵角を当てる方向に吸込まれるこの感触に、6年前、第2世代NSXが誕生したときに得た衝撃が蘇る。