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ボンネットににょっきり生えた「フードマスコット」は絶滅危惧種だった! 高級車の証が消えつつあるワケ (1/2ページ)

ボンネットににょっきり生えた「フードマスコット」は絶滅危惧種だった! 高級車の証が消えつつあるワケ

この記事をまとめると

■ひと昔前の高級車には「フードマスコット」がよく装備されていた

■2001年6月に「乗用車の外部突起」に関する国際基準が制定されそこから減少傾向に

■現在では格納されたり倒れたりする仕組みを採用して少数ながら生き残っている

高級車の証「フードマスコット」

「高級車」と聞くといろいろなものが思い浮かびますが、その1つに、ボンネット先端に置かれている彫刻のようなマスコットがあるかと思います。これは一般的に「フード・マスコット」や「ボンネット・マスコット」と呼ばれるもので、英国の高級車ロールス・ロイスやジャガー、ドイツのメルセデス・ベンツなどが広く知られているでしょうか。国産車でも1990年代の日産プレジデントやシーマなどに採用されていました。

 もっとも有名なフード・マスコットと言えるロールス・ロイスで初めて採用されたのは、1911年のことでした。通称としてフライング・レディと呼ばれていますが、正式名称はスピリット・オブ・エクスタシー。英国の自動車雑誌「The Car」の編集長で英国貴族だったジョン・スコット・モンダギューが、愛車であるシルバー・ゴーストにふさわしいマスコットを装着したいと考え、友人である彫刻家のチャールズ・サイクスに制作を依頼しました。そして1911年から正式にロールス・ロイスのフード・マスコットに決定したといいます。

 このスピリット・オブ・エクスタシーは、1920年にパリで開催されたフード・マスコットのコンテストでグランプリを受賞したという記録が残されており、このことからも、当時からフード・マスコットがさまざまな車両に採用されていたことを窺わせます。

 ちなみにこのスピリット・オブ・エクスタシーは、薄い羽衣をまとっただけで右半身はほとんどヌードに近いものでしたが、これに対してアラブの王侯貴族からクレームが入ったそうです。宗教的に、女性が人前で肌を見せることが許されない地域だけに、衣服を着せてひざまずかせることを提案したと言います。そこで生まれたのが、もう1つのスピリット・オブ・エクスタシーである「Kneeling(ニーリング)」バージョン。これは宗教的な問題のある地域だけでなく、英国のエリザベス女王が乗っていたロールス・ロイスにもこのニーリングバージョンが装着されていたことから、身分の高い人に向けたフード・マスコットとして活用されていたようです。

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