こんな「男臭い」アストンマーティンがあったのか! ボンネットの膨らみがヤバすぎる「V8ヴァンテージ・ザガート」って何者? (2/2ページ)

オークションでは5000万円前後で落札されるコレクターズアイテム

 前で触れたプロトタイプではホイールベースが短縮されているため、さらにコーナリングではクイックで軽快な動きが楽しめたことだろう。それらはいずれもフルレストアの作業を受け、新車と変わらないコンディションに保たれているというが、なかなか実際にその姿を見る機会は少ない。

 2016年のコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ、あるいは翌2017年のロンドン・コンクールなどが、その限られたチャンスとして記憶に残る場所だ。

 オークショネアのRMサザビーズでも、年に何回かはこのV8ヴァンテージ・ザガートは出品車としてステージに招かれることがある。もっとも新しいところでは、2021年のロンドン・オークションで1987年モデルのクーペが30万~35万ポンド(4530万~5285万円)のエスティメート(予想落札価格)を掲げて出品されたが、残念ながら流札。

 一方、売買が成立したものには、やはり2011年のグイカス・コレクションで、わずか14台が生産されたのみの、1987年モデルの左ハンドル仕様が、走行距離で1万5000kmという好条件も重なって42万1250ユーロ(約4675万8750円)や、45万9200ユーロ(約5831万円)で落札されている。

 また、2017年のヴィラ・エルバ・オークションで売買されたヴォランテも鮮やかなイエローのボディカラーが美しい、コレクターズアイテムとしては非常に魅力的な一台だった。

 そしてアストンマーティンとザガートの関係によるプロダクションモデルが再び正式に誕生するのは、DB7ヴァンテージをベースとするDB7ザガートが2003年に登場するのを待たなければならないことになる。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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