こんな「男臭い」アストンマーティンがあったのか! ボンネットの膨らみがヤバすぎる「V8ヴァンテージ・ザガート」って何者? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■V8ヴァンテージ・ザガートはアストンマーティンが1986年に発表したクルマ

■パフォーマンスの高さを表現したかのようなボンネット上のパワーバルジが最大の特徴

■プレプロダクションモデルとしてショートホイールベースのプロトタイプが3台存在する

クーペ52台オープン37台の激レア車

 それは1986年春に開催されたジュネーブショーでのことだった。そのアストンマーティンブースで、ある一台のニューモデルが発表されると、その存在は一瞬にして世界を駆け巡り、当時アストンマーティンが計画していた生産台数のすべてにはカスタマーが決まったともいう。

 そのモデルの名は「V8ヴァンテージ・サガート」。それまでのDBSヴァンテージを超えるパフォーマンスと、ボンネット上の大きなパワーバルジを特徴とする斬新なスタイルは、アストンマーティンに新しい時代が訪れたことを主張するには、十分すぎるほどの演出といえた。

 V8ヴァンテージ・ザガートには、クーペとオープン仕様のヴォランテの両ボディが設定されたが、実際の販売台数は前者が52台、後者は37台と、それを合計しても90台にも満たない数である。だが、ほかに生産を開始する前に製作された3台のランニングプロトタイプが存在し、ショートホイールベース化を始め、リヤシートの廃止など、さらに軽量化を極めたこのプロトタイプは、最高速で305km/hを記録するという、当時のアストンマーティン車としては最速のスーパースポーツだった。

 搭載エンジンは436馬力の5.3リッター版V型8気筒。0-60マイル(約96km/h)は5.4秒。最高速も168マイル(約270km/h)を記録したというのだから、これはライバルに対しても十分な脅威となる数字だったに違いない。

 もちろんこの魅力的な運動性能は、高性能なV型8気筒エンジンによってのみ得られたものではなかった。第一に触れなければならないのは、ザガートの手によるエアロダイアミクスに富むエクステリアデザイン。のちに追加されたヴォランテでも、ザガートはクーペと変わらないスパルタンな外観を実現しているが、それは優秀なエアロダイアミクスに裏づけされた、確かな機能を持つ造形だったのだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報