原則として線路上の走行は不可だが例外もある
原則として、路面電車の線路の上はクルマが走れない規則になっている。
ただし、右左折などの必要がある際には、一時的に線路上を通過してよい。それでも、たとえば右折で対向車の直進車両を待つ際には線路の上にのらず、手前で待つ必要がある。左折の際には、路面電車を使う歩行者が道路を横断する場合があるので、その点も注意が必要だ。
そのほか、道幅が狭いところで線路部分へはみ出さなければならない場面や、道路工事などで道幅が制約されているとき、また通行可能であると標識で示している箇所では、線路の上を走行できる。
そうした基本的原則を知らないでいると、路面電車の線路上にクルマを止めてしまう人もあって、たとえ短時間でも駐車違反に問われることになる。
信号については、通常通りの指示にしたがってクルマは走り、路面電車は別に専用の信号が設置される。それでも、信号の切り替わりなどで無理に交差点を通過しようとすると、路面電車の信号の指示によって動き出した車両との接触の恐れもある。信号を守るのは交通の原則ではあるが。信号の指示をより厳守する心構えがよいだろう。
状況によって線路の上を走る場合の注意として、アスファルト舗装に比べ線路は鉄でできているので滑りやすく、ことに雨の日には慎重な運転が求められる。線路の周囲も、アスファルトではなく石畳である場合もあり、運転感覚が違ってくるので用心して走るといい。
東京の都電が消えたのは、1964年の東京オリンピックを契機に道路が改修され、またクルマの交通量も増えたことによって、路面電車が交通渋滞の要因になったことによる。したがって、路面電車が活躍できるのはあまり大都市でない場合が多いのではないか。代わりに東京には地下鉄網が広がった。公共交通とクルマの共生は、地域の事情でさまざまであるはずだ。