速度が上がってもずっとフラットで快適
今回はAクラスで180、Bクラスで220 dを試乗したのだが、どちらも相変わらず印象がいい。まぁ細かなセッティングの違いなどはあるのかもしれないが、基本は従来と一緒。悪くなってるはずがないのも当然と言えば当然なのだろうけど、素直に「いいな」と思わされた。
1.4リッター直列4気筒ターボは、低回転域から充分なトルクを発揮してくれて街なかで扱いやすいうえ、加速力もコンパクトな実用ハッチにカテゴライズされるモデルにしては必要十分以上。数値の上では200 dに負けてるが、ディーゼル搭載モデルより車重がAクラスで130kg、Bクラスで120kg軽いので、それがクルマの軽快感につながっている。
2リッター直列4気筒ディーゼルターボのほうはどうかといえば、やっぱり力強さが際立っている。普段もっともよく使うのは2000回転以下になるわけだが、その領域でのトルクの存在感は申し分ないし、速度もしっかりついてくる。しかも、そこからさらにエンジンの回転を上げると、3000回転を越える辺りまで勢いを増しながら強力に加速をしていく。結構スポーティなエンジンなのだ。
全体的な乗り味に関していうなら、どちらもパッケージオプションに含まれる18インチのタイヤが装着されていたからか、低速域ではやや硬めのフィーリングを伝えてくるし、段差などでは軽くそれを伝えてくる。でも、ほんとに“やや”だし“軽く”だ。そこに気持ちが引っかかるようなものは何ひとつないし、速度が上がるにつれてフラットに近づいていくので、ずっと“結構快適だな、さすがメルセデス”なんて思いながら走っていた。
あえていうなら、クルマの基本的なキャラクターもあるのだろうけど、Bクラスの若干ソフトめに感じられたサスペンションのストローク感のほうが、僕の好みに合ってたかもしれない。
いずれにしても、Aクラス、Bクラスともに、メルセデス・ベンツのボトムを支えるモデルとしての完成度はかなり高いと思う。コンパクトだけど上質で、日々の相棒としての快適さ、使いやすさなどに不満らしい不満はまったく感じられない。よくできてるのだ。
そのぶんAクラスは498万円から、Bクラスは537万円からと安くはないが、それだけの価値は十分にあると感じられた。コンパクトなクルマがいいけど見ても触れても乗っても安っぽさが感じられないモデルじゃないとな……なんて考えてる人には、まさにうってつけだろう。
電動化が進んでいるいま、そういえば内燃機関で走るAクラスとBクラスはこれが最後になるんじゃないか? とウワサされてもいる。エンジンで走る小さなメルセデスが欲しい人にとっては、もしかしたら最後のチャンスになるかもしれない。気になる人は急いで! である。