「普通にテレビ番組楽しめないの?」と言われてもムリなものはムリ! 「クルマ好き」がテレビ視聴しているときの「常人には理解不能な性」とは (2/2ページ)

もはやコンテンツを純粋に楽しめない……

 そのほか、「劇中車の年式にいちいちうるさい」というのもあるだろうか。

 1970年代初頭を舞台としたドラマを見れば、筋や役者さんの演技は(ほぼ)そっちのけで「マツダ・コスモAPが発売されたのは1975年だから、この時代に走ってるわけがないじゃないか! おかしいよ!」と唾を飛ばして周囲の人にウザがられ、1980年代後半のバブル初期を題材としたドラマであれば、「……確かにあの時代、“小ベンツ”ことW201型メルセデス・ベンツ 190Eはたくさん走っていたけど、サッコプレートが付いた後期型は1988年からであって……」などと誰にも求められていないウンチクをブツブツつぶやき、嫌われる。

 こういった「どうでもいいこと」をいちいち気にしていると、せっかくのドラマの感動が薄まってしまうため――つまり自分にとって“損”であるため――筆者はなるべく気にしないように努めている。努力はしている。

 だが過日。NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』にて、主人公のまいちゃんが2013年に運転していたIWAKURAの社用車であるトヨタ・プロボックスが、2014年8月以降に販売されたマイチェン型であることに気づいた私は、思わずごはん茶碗を左手に持ったまま立ち上がり、「まいちゃん、それおかしいよ! しかもなぜか3ナンバーだし!」と叫んでしまった。

 あの回が放映されたのは確か2023年1月だったと記憶しているが、以来4カ月、家人は私に口を利いてくれないままでいる。

 そのほかでは「劇中車複数の車種から、表立って公表はされていないスポンサーを推測する」「箱根駅伝にて、がんばっている選手ではなく、新たに先導車として起用された新型プリウスについて『おっ?』と思う」「ウルトラセブンの再放送を観て、ポインター号の前後オーバーハングの長さを心配する(緊急出動時、狭い道に入って行けるの?)」などの悪癖もあり、これら悪癖をどうにかして改善したいとは思っている。そうしないと、テレビジョンのコンテンツを純粋に楽しめないからだ。

 だがこれはもう“クルマ”というものを好きになってしまった者の宿命のようなものでもあるため、半ばあきらめているというのも事実だ。

 この悪癖が治るのは死ぬときか、あるいはボケたときなのだろう。それまでは、悪癖とボチボチ付き合っていくしかないのだ。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

新着情報