モデルライフサイクルが10年を超えているクルマは危うい
これから国内販売を終える可能性が高いのは、現行型の登場から10年以上を経過した車種だ。途中で規模の大きな改良を実施しない限り、発売されてフルモデルチェンジを受けずに10年を超えると、ユーザーが別の車種を購入して、乗り替え需要を見込みにくくなってしまう。
たとえばトヨタ車の場合、最終型ヴィッツは2010年に登場して、10年後の2020年にヤリスに切り替わった。アクアも初代(先代)モデルは2011年に発売され、2021年に2代目の現行型になった。前述の現行ミラージュも2012年の発売だから、日本では10年で終了した。フルモデルチェンジの周期が長い悪路向けのSUVや商用車を除くと、10年が限界なのだ。
そうなると、日産エルグランドは2010年の登場だから13年目に入った。ハイブリッドも用意されず設計が古くなり、2022年の1カ月平均登録台数は200台を下まわる。今後、フルモデルチェンジする噂もあるが、もはや従来型からの乗り替え需要は望みにくい。
同じミニバンでも三菱デリカD:5は、2007年に登場しながら2019年にフルモデルチェンジ並みの変更を施して、2022年には1か月平均で約1400台を登録した。この売れ行きは、設計の新しい現行アウトランダーと同程度だから、車種の性格や改良の仕方次第で、設計が古くても売れ行きを高く保つことは可能だ。
SUVではマツダCX-3が挙げられる。2015年の登場だから極端に古くはないが、2019年に発売されたCX-30が実質的な後継車種と受け取られる。いまのCX-3は、1.5リッターエンジン搭載車を192万5000円から用意して割安感を訴求している。それでも今後の動向は分からない。
このほかLサイズの3列シートSUVのマツダCX-8は、2017年の登場だから古くはないが、「今後登場するCX-80と入れ替えに消滅する」という。
その一方でマツダ6は、2012年の発売だから10年以上を経過したが、後輪駆動のプラットフォームを使って今後フルモデルチェンジを行う。
レクサスISも、2013年の登場だから約10年を経過するが、今後の動向は分からない。