この記事をまとめると
■モビリティタイヤの仕組みについて解説
■釘などが刺さっても貫通しないためパンクしにくい
■トレッド部分の内側に柔らかいゴムの層があるのが特徴
パンクを未然に防いでくれるタイヤがあった!
パンクというのは悩ましいもので、道路が整備された現在でもするときはするので油断はならない。最近では軽量化や資源の関係、交換作業ができない人が増えていることなどからスペアタイヤを積んでいないクルマがほとんど。代わりにパンク修理剤が積まれているが、こちらもパンクしていきなり使おうとしてもできないだけに、結局はレスキューを呼んで対応してもらうのが一般的だ。
パンクすると釘などがトレッド面に刺さった場合は修理が可能。ただし、チューブレスタイヤでは空気がかなりゆっくりとしか抜けないので気が付きにくいのが問題だ。日本車では今ひとつ普及しないが、ランフラットタイヤにしてもパンクしても走れるというだけで、結局は交換か修理する必要はあって、なにかしら対処しないといけない。
クルマを運転する以上はパンクの可能性からは逃れられないと言っていいのだが、救世主的なタイヤが登場している。それがモビリティタイヤと呼ばれるもので、シールタイヤやセルフシールタイヤとも呼ばれる。仕組みはトレッド部分の内側にベタベタとしたシーラント剤と呼ばれる非常に柔らかいゴムの層があるのが特徴で、日本流に言うと鳥黐(とりもち)的な感じ。パンク修理剤が最初から入っているような仕組みと言っていい。
もし釘などが従来のゴム層を貫通してもシーラント剤は柔らかいので貫通しないのがポイント。釘を抜いてもシーラント剤が引っ張られて、穴を防いでくれる。5mm以下であれば、問題ないとしている。
釘を発見したらディーラーなどで点検するように指示されているものの、そのまま走っても、釘を抜いても問題はない。ランフラットタイヤは80km/hまでの速度で80kmの距離まで走れるというだけで、修理が必要なので根本部分はまったく違うものだ。
しかし、このモビリティタイヤは今ひとつ普及しないのが残念なところ。世界で最初に市販車に採用されたのが2008年のフォルクスワーゲン・パサートCCで、日本仕様も採用されていた。コンチネンタルとVWが共同開発したもので、ピレリも同様のタイヤを作っている。ただし、日本メーカーも含めて今ひとつ普及しないのが実際のところで、価格もそれほど高くはないだけに不思議ではある。各方面に聞いても理由は今ひとつわからないものの、「そこまでしてパンク対策に力を入れなくてもいいのでは」や「対応できる穴のサイズが小さすぎ」という声が多かった。
また、最新のID.4にも採用されていて、そこには但し書きとして「タイヤを理由にして返品や交換はできません」とあるので、ユーザー側の不安要素もあるのかもしれない。