【試乗】一度「実効空力デバイス」の効果を体験したらもう戻れない! 350kmの快適すぎる長距離ドライブで「フリード・モデューロX」の凄さを見せつけられた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ホンダ・フリード・モデューロXに試乗した

■高速域でも抜群の接地感で高いスタビリティを披露

ホンダ初のチューニング&カスタマイズであるモデューロXならクルマを自由で柔軟に楽しめる

完成度の高さが段違いなフリード モデューロX

「チューン」といえば、パワーを上げるとか車高を下げて足を固めるといったメニューが定番かもしれない。でも、いわゆるチューナーではない、クルマ作りのプロである自動車メーカーのエンジニアが、市販モデルの研究開発と並行してファインチューンを施すと、いかにもあとから足したアドオンのトッピングではなく、良質のダシのような味わいの深さとして効いてくる。

 ホンダの内製チューンドコンプリートカーである「モデューロX」と、ベースのノーマルモデルとの違いはまさしくその辺りだ。具体的にモデューロXは「実効空力デバイス」を打ち出している。いわゆるドレスアップや外観カスタマイズとして、自動車メーカー傘下の車体系列による特別スタイルであるとか、純正ディーラーオプションで装着するようなエアロキットとは、そもそもの目的も完成度のレベルも、まったく違うのだ。

 モデューロXのエアロパーツは、空力デバイスとして専用の足まわりとセットで開発されており、シャシーチューンの領域に踏み込んでいる。エアロパーツの機能は、モータースポーツのような高速域でダウンフォースを得ることだけではない。日常的な公道の速度域でも空力を整えることでハンドリングやスタビリティを向上させ、ノイズ低減に貢献する整流効果は小さくない。もとより空気抵抗の大きなミニバンなら、なおのことだ。

 今回、東北取材の往復に借り出した「ホンダ・フリード・モデューロX」はガソリン仕様で、1.5リッター直4にトルコン付CVTが組み合わされている。もちろんフリード・モデューロXには同じく1.5リッターベースで7速DCTと組み合わされるハイブリッド仕様も選べる。

 まずフロントの専用パーツ3点、フロントグリルとLEDフォグランプ、そしてエアロバンパーを見ていこう。前2者はスタイリングをワイドに見せる効果は無論あるが、とくにエアロバンパーに注目したい。左右のエアロフィン、そしてバンパー下へと潜り込んでいくエアロスロープ、さらにエアロボトムフィンが、整流効果を重視した独自形状になっているのだ。リヤのロアースカートも専用で、フロントからボディ下面に導かれたエアを抜き取る。さらに足まわりについても、ダンパー&スプリングは専用開発されたもので、剛性を最適化した15インチアルミホイールも専用品となっている。

 リヤのハッチゲートや内装のシート、フロアマットなどは無論、モデューロXのロゴが入った専用仕立てだ。走りに関わる部分に装着された非ノーマルパーツは先に上に挙げた辺りだが、フリードの動的質感に劇的な変化をもたらしていた。機能パーツとしての効き目がおそろしくロジックで、乗り手がキチンと感じ取れるほど、巧みに丁寧に作り込まれており、いい意味でコンパクトミニバンの車格に対する先入観を裏切られた。

 まず些細なことだが、街乗り程度の速度域、徐行から低速域でもアクセルペダルに対する反応がよく、踏めば踏んだ分だけ前に出る。のんびりしたファミリーカー用途のミニバンにありがちな、妙にペダルの遊びが大きくて反応が鈍いから余分に踏み込ませる、そういうダルな調律の操作系ではない。ほとんど良質のスポーツハッチバックのように忠実で軽快なのだ。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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