プジョー・リフターやシトロエン・ベルランゴとはひと味違うイタリア味! フィアット・ドブロには単なる兄弟車と片付けるのは早計な「デザインの妙」が隠れていた (2/2ページ)

フィアットファン納得の仕立てに

コーディネイトのためのブラックバンパー

 一方、話題になっているのがブラックの素材色によるバンパー。もちろん、ルノーのカングーと同じ設定だとの声です。これについてフィアットジャパンのプロダクトマネージャーである阿部琢磨氏に聞いたところ、1つはほかの2台と異なる個性を与えたいことと、もう1点はボディが間延びして見えないことを意図したそうです。

 新型ドブロは、ブラックで各部をコーディネイトしているのが特徴で、このバンパーに加え、サイドのエアバンプはもちろん、ホイールもブラックを基本としており、とりわけ下半身の力強さを演出しています。力強さを打ち出すなら、リフターのような広いプロテクター類を施せばとも思いますが、それはそれでオリジナリティの問題があるのかもしれません。いずれにしても、カングーのブラックバンパーとはちょっと話が違うようです。

 一方、インテリアも基本造形をほかの2車と同じとしています。そのなかで、リフターがプジョー独自のi-Cockpitを導入したり、ベルランゴがインパネやシートに独特のカラーリングを行っているのに対し、ドブロはもっともベーシックな表情になっており、ここにもシンプル指向が表れているようです。

 ボディカラーについてはメインのブルーと、そのほかにグレー・ホワイトの3色展開です。前出の阿部氏によれば、本来はフィアットらしくもっとポップな色を揃えたかったそうですが、そもそもイタリア本国でも多くの用意がないとのこと。この点はリフターも同じで、ベルランゴのにぎやかさが目立ちます。

 さて、こうしてデザインをチェックすると、シンプルかつベーシックに徹することでの独自性が浮かび上がってきます。「3台の差なんてわずかじゃないか」というのは真実ですが、その小さな違いのなかで各社の個性を発揮できる「素材」があることに、ある種の羨ましさを感じさせるのです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
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