スバルのVAB型WRXの改良が止まらない! 戦闘力マシマシで全日本ラリー3度目の表彰台を獲得 (2/2ページ)

GRヤリスにも負けない領域に入ってきた

「軽量化としては30kg〜40kgで、リストリクターの拡大により最高出力が15馬力ぐらいアップしています。昨年のタイヤと違うので、直接的な比較はできませんが、冷却性能の向上やシーケンシャル化で確実にパフォーマンスはアップしています」と語るのはチーム監督の嶋村 誠氏。

 事実、そのパフォーマンスは高く、前述のとおり、これまで2台のスバルWRXラリーチャレンジはJN1クラスで躍進中だ。

 同モデルの感触について「フィーリングは激変しました。軽さを感じるし、シーケンシャルもいい。タイヤが違うので単純な比較はできませんが、タイヤ依存で走っていた昨年と違って、今年は細いタイヤでもグリップを生かせるような走りができていると思います」と鎌田が語れば、新井も「クルマは軽くなっている。昨年までのGRヤリスには追いついたと思う」と語る。

 このようにスバルWRXラリーチャレンジは、VAB型WRXの最終バージョンとして進化を重ねてきたが、S4ベースの2023年仕様車はVAB型WRXの最終バージョンと同様に材質置換による軽量化やボンネットダクトの冷却性能の強化、34mmの吸気リストリクターが採用されるほか、新たなアイテムとして競技専用のサブフレームおよびロワアームが採用される予定。剛性の向上に加えて、ジオメトリーの変更が行えることから、セッティングの自由度が広がってくることだろう。

 前述の嶋村監督によれば「先行開発としてVAB型WRXの軽量化や冷却性能の向上、リストリクターの拡大を行ってきましたが、昨年までのGRヤリスに追いつくことができました。それに、R5仕様車に対しても昨年まで1kmあたり2秒ぐらい離されていましたが、いまは1秒まで追いついてきたので、S4ベースの2023年型モデルではR5に対して、1kmあたり0.5秒ぐらいのところまでいきたい」とのこと。

 さらに「ボディは大きいけど剛性が高いので、VABと車両重量が同じぐらいに収まればクルマは軽く動くと思う。あとはFA24型エンジンが直噴なので、そこにアドバンテージが出ることを期待している」と新井。

「いままでできなかったジオメトリーの変更ができるし、ボディも良くなって、エンジンパワーも上がっていると思う。タイヤをうまく使えるようなセッティングができれば、いままで以上に戦えると思います」と鎌田が語るように、両ドライバーの2023年型モデルへの期待値は高い。

 S4ベースの2023年型モデルはいまだ開発中で、デビュー戦のタイミングは第5戦のラリー丹後もしくは第6戦のラリー・カムイになりそうだが、大幅なパフォーマンスアップを期待されているだけに、今後の動向に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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スバル・フォレスター
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