トヨタの車種は半導体不足の影響を受けやすい
トヨタ車の納期がほかのメーカーに比べて長い背景には複数の理由がある。まず、ランドクルーザーなどは、新型コロナウイルスや半導体の不足以前に、日本市場向けの割り当て台数が少ない。ランドクルーザーの開発者は「生産総数の50%が中近東に輸出され、現行型はとくに人気が高い。オーストラリアも多い。逆に日本市場の割り当て台数は、生産総数の10%を下まわる」としている。
ボディサイズや価格帯の影響もある。トヨタには、価格を高めに設定したミドルサイズ以上の車種が多い。部品点数も増えて、装着する車種の少ない特殊な半導体やユニットも使われる。納期の遅延を招きやすい車種が目立つ。
車種の数が多いことも理由のひとつだ。日産やホンダは、合理化のために車種を大幅に減らしたが、トヨタはいまでも選択肢をそろえる。たとえば全長を4500mm以下に抑えたコンパクトSUVだけでも、ライズ、ヤリスクロス、カローラクロス、C-HRがある。このように車種が多いと、半導体などの供給不足の影響を受けやすい。
このほか、納期の短い軽自動車をほとんど扱わないことも理由だ。直近の2023年1〜3月の国内販売台数を見ると、ホンダは57%、日産も42%が軽自動車で占められた。軽自動車が多ければ、前述のとおり納期も短く抑えやすい。
逆にトヨタは、少数のOEM車を除くと軽自動車は扱わない。国内で販売する小型/普通車の50%以上がトヨタ車(レクサスを含む)だから、ほかのメーカーに比べて、納期を延ばす条件が重なっている。