なんとカローラよりも昔から存在! 17年ぶりにフルモデルチェンジした「いすゞエルフ」の歴史と新型の驚きハイテクっぷり (2/2ページ)

未来を見据えた標識連動スピードリミッター

 センサーとしてはミリ波レーダーとステレオカメラをフュージョンさせたもので、ステレオカメラがフロントウインドウ上部ではなくダッシュボード上に配置されているのはトラックらしい部分といえるだろう。

 そのステレオカメラを活用することで、交差点の右左折時に横断している歩行者を検知、衝突事故を防止もしくは被害軽減が期待できるプリクラッシュブレーキ(AEB)を作動させることができるのは注目したい機能だ。市街地で使われることの多い小型トラックの関わる交通死亡事故の47%が対歩行者であり、その多くが横断中に起きていることを考えると、交通死亡事故ゼロに向けて非常に有効な機能として期待したい。もちろん、このカメラは夜間の歩行者検知も可能となっている。

 ACCについては停止発進までも車両がカバーする高性能タイプ。ブレーキのオートホールド機能も設定されている。

 また、乗用車でもまだまだ一部の上級モデルにしか備わっていない「ドライバーステータスモニター(DSM)」や「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を設定していることも、交通死亡事故ゼロに向けたいすゞの本気を示している。EDSSの採用によって、急な疾患などによる車両の暴走を防ぎ、安全に停止させることが可能となっている。

 一般のドライバーとして気になるのは、標識連動型スピードリミッターだろう。速度標識を読み取る機能は、いまや軽自動車クラスまで普及しているので珍しいものではないが、標識の数字に連動してスピードリミッターを作動させることで速度違反を防ぎ、安全な運行をサポートする機能だ。

 自動運転時代には制限速度や指定速度を厳守することが円滑な交通につながる。逆にいえば、速度違反をしているドライバーが多い状況では自動運転車との共存は難しいという指摘もある。その意味で、標識連動型スピードリミッターは将来的には必須となることが予想されている。新型エルフが、標識連動型スピードリミッターを装備してきたのはまさに自動運転時代を見据えた次世代トラックであることを示している。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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