この記事をまとめると
■自転車運転時のヘルメット着用が「努力義務」になった
■ノーヘルの自転車が事故を起こした場合、保険の扱いはどうなるのだろうか?
■保険会社に聞いた内容も含めて詳しく解説
保険の有無責に影響はない
4月から道路交通法の改正により「努力義務」とされた自転車運転時のヘルメット着用。ヘルメットを着用していないと違反となったりするのか? この新たなルールに世間ではさまざまな疑問が沸いた。そんな疑問のなかでも今回は保険の適用に関して紹介していく。いわゆる「ノーヘル」での自転車に関する事故での保険の扱いはどうなるのだろうか?
保険に影響はなし
保険会社に聞いたところ「ノーヘルの自転車が関係する事故が発生しても保険の有無責に影響はない」とのこと。つまり事故に関係した自転車がノーヘルであっても保険の適用に関してはとくに問題ないそうだ。
これはヘルメットの着用が「努力義務」だからだと言えるだろう。今回の改正で道路交通法の自転車ヘルメットの着用に関する項目には以下のように定められた。
第1項「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。」
第2項「自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」
第3項「児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」
簡単に言えば自転車に乗るすべての人がヘルメットを装着するように「努める」こととなった。ヘルメットを装着していなくても法令を違反している状況ではない。そのため、保険の有無責に影響はないのだ。
適用されないのは極端な場合
ただ、すべての場合で適用されるという訳ではない。というか、これはすべての保険でも同じことが言えるだろう。
それは約款上明らかな法令違反があった場合だ。これはノーヘルだったから保険が適用されないというより、ほかに重大な法令違反があったから。そんな状況がほとんどと言えるだろう。「保険に入っているから何してももしもの時は無敵」みたいな考え方は止めておくべきだ。
努力義務の効果は?
罰則もない、保険の適用も変わりない、そのため何の意味があるのか? という自転車乗車時のヘルメット着用の「努力義務」。しかし、自転車に乗るすべての人に対してヘルメットを装着するように記載されたのは、道路交通法でも初めての事だ。これにより、さまざまな機関がヘルメットの着用をこれまで以上に推奨しやすくなった。
実際に、街でもヘルメットを着用した自転車愛用者を見かける機会は増えてきているし、ヘルメットが品薄になっているというニュースも見受けられる。自転車事故時のパッシブセーフティへの意識改革という面で考えれば、大きな一歩と言えるのではないだろうか。