BEVだからこそできるボディ一体型グリル
スピンドルボディは当面の解決策?
第4世代は、まさにいま展開されているさまざまな試みです。たとえば、次世代レクサスデザインの第1弾である新型NXでは、グリルの枠を黒くしてボディとの隔絶感を減らしました。さらに、新型LXでは枠自体を取り払い、横桟のみでスピンドル形状を作っています。
第1~4世代までの流れを見ればわかるとおり、スピンドルグリルの歴史は「どうやってボディとマッチさせるか?」の連続でした。レクサスの個性を打ち出すには十二分な素材とはいえ、上下左右に大きなこのグリルを料理するのはなかなか難儀なのです。
そうしたなかで登場したのが、RZの「スピンドルボディ」という提案です。多くのメーカーのBEVに準じたグリルレスを採用し、外形のみを残した独特の形状ですが、ただ、これはBEVという特殊な条件での例外的な造形でもあります。
それよりも、10年以上の試行錯誤とRZの振り切った表現の融合である新型RXの手法が、ある意味レクサス本道の「スピンドルボディ」と言えそうです。これは上海で発表された新型LMも同じで、ボディとグリルをグラデーションでつなげたこの造形が一体化の極みであり、スピンドルグリルの当面の解決策と言えそうです。
さて、今後スピンドルグリルはどうなるのでしょうか? レクサスは、とりわけ海外市場での個性の確立のため「常にチャレンジする」姿勢をとってきましたが、トヨタブランドが新しいプリウスやシエンタなどでシンプル回帰しているように、そろそろ本質的なデザインに向かうべきではないかと思えます。
せっかくボディとの一体化にたどり着いたのですから、1周まわって冒頭のIS Fのようにオラオラ感のない、落ち着きのある表情に昇華するのもアリなのではないでしょうか。