過去には「展示車が欲しい」という買い方も
少し前の中国のモーターショーでは、会場に展示されている超高級車やスーパーカーをショー会場で買うのがステイタスとされていた。そもそも中国で自動車産業が本格的に立ち上がろうとしていたころには、製造品質にバラつきがあったそうで、カタログを見て「このグレードで……」といった新車の買い方をせずに、「展示してあるこの実車が欲しい」という買い方が目立っていたとのこと。その名残りとともに、超高級車やスーパーカーブースではなかなか一般来場者が展示車に近寄ることができないなか、『VIP』として近寄ることが許される特権意識に酔いしれながら購入したいということもあったようだ。
バンコクショー会場の盛り上がりは、『ガチ』で新車購入を考えて来場する人が多く、そして積極的に売ろうという姿勢が各メーカーブースにもある、どこか緊張感のようなものがあることも大きいのかもしれない。
東京モーターショーは『万国びっくりショー』に徹して新車を売らなくなった。それはタイとは異なり多数の自国量販ブランドが存在し、しかも高い技術力があり、それを見に世界から多数のメディアも含むひとたちがやってきていたことも大きいだろう。ただ、令和の世の中になっては日本車の技術力がとくに世界的に秀でたものであるというわけでもない。ジャパンモビリティショーと改名したこのタイミングで、いま一度バンコクショーのようにトレードショー色を強めたものに戻すというのもいいかもしれない(主催が新車販売の業界団体ではなく日本自動車工業会では難しい?)。